2009年07月31日

バラーナス最大の祭り その2

28日に載せた原稿で予告しておいたバナーラスで
催される最大の祭りに集まって来る老若男女が
ひしめき合って沐浴をする写真をお見せします。

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まだ太陽が昇りきらぬ薄暗い時間から、人々はガートへ殺到する。
11月下旬のインドは昼間は暑いが、朝晩はもう冷えてくる。
水温もかなり低いはずである。若い娘たちは「冷たい」と嬌声を上げるが、
爺さん、婆さんはそんなそぶりを見せることなく、
黙って沐浴を済ませていく。

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太陽が人々を照らし始めるとますますざわめきが大きくなるような気がする。
寒さを敬遠していた人たちも宿から沐浴道具一式を揃えて、ガートに突入する。

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異教徒の私はカメラを向けることにためらいを感じることもあるが、
怒る人はいない。
若い連中は笑顔で答えてくれたりするが、
この女性たちはじっとこちらを見つめ、まるで私にも幸あるように
聖なるガンガの水を掌から河に戻してくれた。

祈りとはなんであろう。
それが知りたくてずっともがいている。

                        大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 08:13 | カテゴリー:

2009年07月30日

変わるインドと変わらないインド

このいい加減なタイトル。
どこの国だって同じジャン。
それでもインドの場合は多少極端かもしれない。
世界中の国々がインド、中国の人口が多くなりすぎて、
食料、環境問題が深刻化するのではないかと心配しつつ、
全く逆にその増え続ける人たちが、
ガンガンお金を使って、いろいろ自分の国のものを買ってくれると
嬉しいなあ、とお祈りをしている。

経済問題は一筋縄ではいかない。
先進国の人間が今と同じ生活水準を維持し、
途上国の人間も同様の生活を始めると世界は破綻するのである。
ご存知の通り、日本では毎年約1940万トンの食糧が廃棄されている。
世界の食糧援助の総量が約330万トンであるから、
その約6倍捨てちゃってるのよ。
自給率が低いこの国でですぜ。
ただ日本だけがアホなことをやっているのではない。
アメリカの政府系環境保護機関の調査では
アメリカ国内で年間約4320万トンの食料が捨てられている。
中国ではまともな食生活を送れない人が片方にいるが、
中国でお金をお持ちの方にご馳走になると、
初めからそりゃ食えないでしょう、と驚くほど大量の料理を注文する。
やっぱり食えなかった、とこちらは肩を落とすが、
全く手をつけていない皿があっても、彼らは全然気にしない。
中国人がみんな日本人並の生活水準を得たときどんなことになるのか
奢ってもらっといて失礼な話だと思うが、不安でならない。
ややこしいのは、食料を廃棄することで、
利益を得ている人がいるということである。
言い方を替えれば、
廃棄しないと利益が得られない企業も存在するということである。
そして経済は一箇所でとどまることはないので、
利益が出ない状況は伝染する。
それが膨らんで不況が起こる。
クルーグマン、スティグリッツのようなノーベル経済学賞受賞者が
やんやかアメリカ政府を批判したりしているが、
根本的な目指すべき世界の哲学までは示していない。
問題は食料だけではないが、
わかりやすいので例に上げさせてもらった。

何の話だ。
インドの話をしようとしていたのに。

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写真はデリーを走るリキシャ。
かつてはオートリキシャと呼んで、自転車式のリキシャと区別していたが、
自転車リキシャの数が減ったので、名前を受け継いでリキシャとなった。
そして、このリキシャも減った。
ドス黒い排気ガスを撒き散らしていたので、非常に評判が悪かったのである。
環境のことを置いておくと、使い勝手がよかったので
インド人も旅行者もよく利用していたのだが、
鼻をかむとティッシュが真っ黒になるくらいひどかった。
また、今でもそうだが、メーターがついているのに
使用しようとしないので旅行者と大喧嘩になるのである。
ちなみにネパールでもかつてはこのリキシャが町中に溢れていたのだが、
今はもう見ることはない。消えてしまった。
インドでもネパールでもほとんどマルチスズキに替わってしまった。
おかげで鼻くそを気にすることはなくなったが、
駆け引きの面白さはなくなった。

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こんなもの昔は見なかったなあ。
恐らく足の悪い人が使えるようにした自転車であろう。
インドでも様々な分野でイノベーションが起きている。
しかし、写真で見る限りどうやってハンドルを切っているのかがわからない。
そもそもハンドルが見えない。
どうにかしているはずなんだが、謎の乗り物である。

かくしてインドは急速に豊かになり、「グローバリズム出ずる処の殺人者より」
の主人公のようなお抱え運転手が増えていったのである。

カースト制は厳然と残ってはいるものの、
かつては職業を受け継ぐための制度と説明も出来たのだが、
ITだ、国際金融だ、その上英語能力も求められるようになり、
職業を担当するカーストがわからなくなってしまい、
そのあたりからもカースト制が曖昧になってきている。
士農工商でもそうであったが、
上位カーストが必ずしも金持ちとももいえなくなった。

公式には存在が認められていないカースト制が実質的になくなった時に
インドは我々の想像を超える超大国となる。

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ムンバイで2008年11月27日に起きた同時多発テロは記憶に新しい。
写真のタージマハル・ホテルも攻撃を受け、大きな被害を出した。
パキスタンを拠点とするイスラム過激組織ラシュカレ・トイバの犯行であったようだが、
小さな衝突は普段から起きていても、
あそこまで大きなテロは10年に一度くらいである。
救いはあの事件がきっかけとなる報復テロが起きなかったことである。
かつては陰惨な衝突が起きていたことを思うと、インドも変わった。
映画「ボンベイ」では92年に起きたムスリムとヒンズー教徒との
激しい衝突が描かれている。
レンタルできると思います。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 06:30 | カテゴリー:

2009年07月29日

骨まで愛して

杏ちゃんの選曲「骨まで愛して」にはさすがの私も驚いた。
おじいさまがカラオケで熱唱されているらしいが、
おじいさまもなかなかやるもんである。
この曲は私が9歳の時に140万枚売る大ヒットとなったが、
当時のムードは大歓迎と言う感じではなかった。
少なくとも下関では。
というのは、この曲、小学生の心も鷲掴みにしたようで、
私も歌ったが、そこいらじゅうで鼻を垂らしたガキ共が
身体をくねらせて「ホネまで〜」とやりだしたからである。
今も変わりはないが、教育上問題があるとか何とかで、
オバハンたちからイチャモンをつけられたのである。
何が悪いのかは小学生のガキに分かるはずもない。
私は今でもわからないが、やはり勘のいい連中が身体をくねくねさせたのが
オバハン共の怒りを買ったのではなかろうか。
今のガキはそんな歌を人前で熱唱する元気もなさそうである。
学校で無理矢理にでも歌わせて、
バイタリティ溢れる大人に育てて欲しいものである。

この曲を歌った城卓矢であるが、私はこの曲以外残念ながら覚えていない。
「骨まで愛して」以外はあまりヒット曲に恵まれなかったようである。
「スタコイ東京」という曲もリリースしていたようであるが、やはり知らない。
スタコイって何だろう。辞書には出ていませんでした。

最近は草食系男子とかいう性欲を失った男が、
むしゃむしゃ肉食系女子に食われているらしい、
とある人が言っていたような気がする。
本当かしら。

何故そんなことになったのか、特に知りたくもないのだが、
一応考察を加えてみると、
何度も放送で杏ちゃんと話しているように、
他に楽しみがたくさん出てきちゃったからではなろうか。
ゲームもなきゃ、ネットもない状況下では
恋愛くらいしか心の支えになるものがなかったんじゃないすか。
人と付き合うことは基本的に手間がかかる。
説得したり、妥協したり、怒ったり、怒られたり、嘘ついたり、嘘つかれたり。
あー、面倒だと思っても仕方ない。
しかし、楽しいことが少なかった時代は恋愛は貴重な娯楽であったのである。
総攻撃を受けることを覚悟して申し上げれば、
「源氏物語」なんか私から見ればエロ恋愛ミステリーである。
すごく楽しかったのだから悪いことではない。

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ベトナムは選挙もある民主主義国家であるが、
現在の政権は一応中国同様、社会主義を標榜している。
その枠内で市場主義も認めている。
旅の中で見る限りは
どこが社会主義なのかわからなくなることが多いのではあるが。

この国はかつて北が共産国、南がアメリカ傀儡政権であるから
一応資本主義の形態をとっていたわけだが、
現在の恋愛事情についてはホーチミンよりもハノイのほうが
あけっぴろげな印象がある。
別に共産国が恋愛を禁じていたわけではなかろうが、
戦争に次ぐ戦争でそんな暇がなかったような気がしていた。

去年ハノイで日本に帰る飛行機を3日間待っていた時に
「あらま」という光景を何度も目にした。
ホアンキエム湖という繁華街の中心にある大きな湖は
市民の憩いの場である。
体操するおばさんも、暇な爺さんもたくさんやってくるのだが、
真昼間から仲のよいカップルも現れる。
その様子が夏の夕方の井の頭公園と変わらぬ様相を呈している。
あんまり過激なところまで至っているお二人には
カメラを向けられなかったが、写真のような品行方正なカップルだけではない。
「それはもう少し暗くなってからにしてくださいよ」
と声を掛けたくなる方々がかなり見かけられる。

10年前にミャンマーにいたときにも同じようなものを見た。
ヤンゴンにはカンドーヂー湖がある。
ここはすごかった。ハノイの10倍はすごかった。
おしっこがしたくて森の中で木の陰で失礼させていただこうと
歩き回るのであるが、大きな木の根元には暑い中必ずぴったり身体を
くっつけた二人がいるのである。
どこにも用が足せるような場所はない。
これはまずいと出来るだけ人のいなさそうなところへ向かうのだが、
人のいなさそうなところこそ、そういう場所であるからして、
さらに過激な行動に走っているカップルがいて、
そんな写真を撮る気もないので、早々に引き上げざるをえなかった。

10年前のヤンゴンも今のハノイもみんな
「骨まで愛し合ってるかい!」「イエー!」である。
日本の皆さん恋愛の原点はここですよ。
相手をむしゃぶりつくすことですよ。
時には人目もはばからず。

警察の厄介になることもありえるので、
私は一切責任を取りませんが、
「ほどほどに愛す」、じゃ
杏ちゃんのおじいさまはカラオケでは歌ってくれませんよ。
みんな、頑張れ。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 14:14 | カテゴリー:

2009年07月28日

バナーラス最大の祭り

2007年11月下旬、私はインドのバナーラスですっかり住人面して、
毎日河を見ていたのだが、そろそろデリーに戻って日本に帰んなきゃ、
と列車のチケットを手配しようとしたら、
「お前はアホか。お前が帰りたいといっている日の翌日に
バナーラス最大の祭りがあるんだぜ。見て帰ること」
と宿のアンちゃんに命令されたので、それに従った。

祭りは11月24日、祭りの名前はDEV DEEPAWALI。
どういう祭りなんだかはよくわからない。
この祭りにあわせてかどうかは不明だが、、
前日にバナーラスの裁判所他、ウッタルプラデッシュ州の3ヵ所で
同時に爆発が起こり、バナーラスだけで9人が死亡した。
ムスリムのテロではなく、「ゴロツキどもの仕業だ」と、
インテリ風のインド人が吐き捨てるように話していた。

24日は朝からガートの様子が違う。
あちこちからチャンティング(祈りを唱和すること)が聞こえてくる。
あわててカメラを持って飛び出すと、
延々と並ぶガートのほぼ中心にあり、インターナショナル・ガート
(多分インドのどこから来ても沐浴できるという意味だと思う。
ガートはたくさんあるが、それぞれのガートはどこどこの州から来た人たちが
沐浴するところ、と大雑把に決まっている)
と呼ばれるダシャーシュワメード・ガート周辺の三つのガートは
普段の5倍くらいの人が沐浴の順番を待って、
寸分の隙もなく、押し合いの状態である。
居場所が無いのでボートを借りて、ただただ眺めいっていた。
それはもう壮観の一言。
この写真はスキャンしていなかったので、今週後半に。

沐浴は朝一番が一番いいのだろうが、
水が冷たいし、ガートのキャパを越えているので昼過ぎまで
人が絶えることがない。

祭りの最大の山場は日が暮れてからである。
ダシャーシュワメード・ガートでは毎晩大きなプージャが執り行われているが、
24日は特別仕様で、プージャを捧げる先のガンジス河の中に
馬鹿でかい舞台がふたつ立てられている。
前の日から用意はしていたが、よくもまあ水の流れに逆らい
無理やりすえつけたものである。
祭りの手際はインド人、見事である。
この舞台、大掛かりなのには感心するのだが、
何だかよくわからない挨拶だの、村の踊りみたいなのが続いてさっぱり面白くない。
今度行こうと思う人は舞台は無視して、
プージャのよく見えるところに陣取ったほうがいいですよ。

私は日が暮れる数時間前からちょうどプージャが正面に見える石の階段に
トイレも我慢して座り込んみ、ひたすら待った。
このために予定をずらしたのだから、見損なったら一生後悔する。
インド人は早くから並ぶということはあまりしないようで、
ぼちぼち集まってくるが、集まると何とか座れるようあらゆる手を尽くす。
人が多いのだから左右ぎゅうぎゅうに詰められるのは
仕方がないが、たちの悪いのは私を押しのけようとする輩である。
私は異教徒なので、できるだけおとなしくしていたのだが、
あまりにも露骨な動きには声を荒げてしまう。
そうすると私の真っ黒な顔、真っ白な伸び放題の髭、貫禄ある髪の毛に
圧倒されてか、以外にあっさりあきらめたりする。
年寄りにインドはいいよ。

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で、上の写真に写っている人たちが見ているのが、
普段の3倍くらい派手なプージャ。

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見にくいと思うが、右の長い髪の少女は筆舌に尽くしがたいほど美しい。
しかし、身動きが取れなかったので、この写真が精一杯である。
インドの美しい女性は、完璧に美しい。
リチャード・ギアがインドの舞台で女優に誠に無礼な振る舞いに及び、
インド中から非難を浴びたことがあった。美しさに血迷ったに違いないが、
私はもっと糾弾されるべきだったと思う。

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プージャの締めは見物人も立ち上がっての短いチャンティングである。
両手を上に上げて何やら叫ぶ。
それが終わるとぞろぞろ帰っていくのであるが、
離れた階段でそれを待っているのが、話をして聞いたわけではないので、
100%の自信は無いが、ダリット(ハリジャンとも呼ばれる、不可触民)だと思う。
アウトカースト、つまりカーストからもはずされた人々である。

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ウッタルプラデッシュ州にはとくにこの人たちが多い。
前回の選挙でダリットの権利のみを主張する政党
(この政党はダリットの権利を守ると言いつつ汚職、
法への不当な介入等で実は評判はあまりよろしくない)
が圧倒的に勝利するのではないか、と危惧されていたが、
ダリットの人々からも愛想をつかされて、大きく議席を減らした。
ともあれ、この人たちは何をしているのかというと、
喜捨を待っているのである。
インド中から集まってくる巡礼からいくばくかの米、小銭をもらうべく、
明るいうちから並んでいる。
何がしかのものを置いていく人、無視して行ってしまう人、様々である。
普段の生活がどのように営まれているのか、
この旅では知りようがなかった。
いつか、またじっくり歩き回った後、報告の機会を持ちたい。

という感じでインド全国から巡礼が押し寄せるバナーラスの
最大の祭りに参加した私はこの後すぐに宿に戻り、
デリーへ向かう列車が待つはずであったヴァーラーナシー駅へとダッシュした。
そしていつ来るのかわからない列車を
駅の構内で横になってひたすら待ったのであった。

先日の皆既日食、このバナーラスでも見られたらしい。
知らなかったなあ。
日本のどこに行こうとも思わなかったのだが、
知っていたら番組飛ばしてでも行って、
インド人と一緒に騒いでいたのに誠に残念。

ちなみに先週紹介した「グローバリズム出ずる処の殺人者より」には
このバナーラスは全く出てこない。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 11:10 | カテゴリー:

2009年07月28日

サンシャイン・クリーニング

「リトル・ミス・サンシャインのスタッフが再び集結」、
なんて書いてあったけど、全然全員が揃っているわけじゃなくて、
一部の人間が重なっている程度ですね。
しかし、原題も邦題通りで、両方サンシャインが入っている上、
なんとなく味わいも似ている。
そんなことでも2匹目の泥鰌を狙いたくなる気持ちはわかる。
タイトルは偶然そうなったのか、狙ったのか是非関係者にお聞きしてみたい。
恐いのはスティーヴン・セガールの「沈黙」シリーズのように、
最初は面白かったのに全部「沈黙」をつけちゃうもんだから、
何を見たかも忘れるし、どうせ同じような映画なんでしょ、
ということになり、すっかりB級扱いされてしまったことであるなあ。
最近すっかりご無沙汰なんだけど、
やっぱり同じような映画なんですか。
個人的にはあの合気道の切れのよさは好きなんだけど。

この「サンシャイン・クリーニング」は全米四館から
六百館に広がりヒットにつながったそうである。
今、売れ時のエイミー・アダムス、
変な役が多いながら注目されているエミリー・ブラント、
「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー助演男優賞を受賞した
アラン・アーキンを起用しておいて
四館からというのはどうも解せない話に聞こえるが、
そう言っているのだから、そうしときましょう。

出演料はもっと使っているはずだが「リトル・ミス・サンシャイン」同様、
金をかけていない映画である。
前述の通り、すごく感動したとか言いにくいが、
まあ、何だかいろいろあったにしても、
心温まったりしていいじゃない、という積極的でないが、
聞かれれば「見るといいよ」と答えたくなる。
事件現場(アメリカだからいろいろあるのよ)の
グチャグチャを片付ける商売が
ほっとするストーリーになってもいいじゃないか。
アメリカだもんな。
銃社会のアメリカでしかなかなか成立しない仕事かもな。
銃社会を痛烈に皮肉っているのか、
逆に擁護しているのかわからない。
どちらでもないのが正解なのだろうが、
あえてそこに踏み入らないところもアメリカっぽいなあ。

しかし、日本では「おくりびと」で、
なるほど日本では絶対に人間に訪れる死をこのように扱うのか、
と思わせて見事アカデミー賞をかっさらったわけであるが、
アメリカでは血と肉片の掃除で一発当てたわけで、
この乾き具合が、非常に興味深い。

「サンシャイン・クリーニング」公式サイト

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 09:21 | カテゴリー:映画部

2009年07月25日

7.25 OA  SARAH MCLACHLAN 元ちとせ A,R, RAFMAN and more

1 SUMMER TIME / DJ JAZZY JEFF & THE FRESH PRINCE 

気鋭の若手ラッパーからハリウッドの人気俳優に、
そして巨万の資産を動かす実業家にまで登り詰めた男といえば
ウィル・スミス。
アフロ・アメリカンとしては、いまやオバマ大統領に次ぐ知名度を
誇る存在といってよいでしょう。
2005年のLIVE 8の際にフィラデルフィアで行った見事なスピーチを
聞いたときは、彼こそ初の黒人大統領にふさわしいと感銘したものです。
この曲のサンプルネタはKOOL & THE GANGの「SUMMER MADNESS」。


2 骨まで愛して / 城卓矢

140万枚のセールスを記録した1966年のヒットソング。
作詞は「おふくろさん」問題で注目を浴びた故・川内康範先生。


3 DIRTY LITTLE SECRET / SARAH MCLACHLAN

法人類学者のヒロインが人骨を鑑定して事件の真相に
迫っていく人気海外ドラマ「BONES-骨は語る-」のサントラから。


4 ワダツミの木 / 元ちとせ

故郷・奄美大島での皆既日食イベントに参加した元。
第二子の妊娠も発表された。おめでとう!


5  GHANAN GHANAN /A.R.RAFMAN

映画「スラムドッグ$ミリオネア」ではグラミー2部門に輝いた
インドの天才音楽家ラフマーンの曲。
遠く離れた日本にもファンクラブが存在しています。


6 BIG TIME SENSUALITY / BJORK 

グローバリズム経済の荒波にのみ込まれ母国のアイスランドは
たいへんなことになってしまいましたが、
反グローバリズムを誰よりも体現しているアーティスト
といえば、この人。
ステージ上でチベットとコソボの独立支持を明らかにするなど、
政治信条にもブレがない。
ソロデビューの時からインディペンデントで反体制派を貫き、
現在に至るまで、その表現は過激で革新的でオリジナルだ。

BOOK BAR staff| 14:46 | カテゴリー:SONG LIST

2009年07月25日

グローバリズム出づる処の殺人者

大倉眞一郎セレクト

    globalism.jpg

著者:アラヴィンド・アディガ 翻訳:鈴木恵

インドのIT都市バンガロールで成功した起業家が
なぜ殺人を起こさねばならなかったのか?
そしてなぜその殺人を明らかにした手紙を中国の首相宛てに
送ることになったのか?

著者のアディガ氏は米コロンビア大学で英文学を学び、
ジャーナリストとしてウォール・ストリート・ジャーナルや
フィナンシャル・タイムに寄稿。
タイム誌の南アジア特派員も務めていた人物。
初めての小説である本作品で権威あるイギリスの文学賞、
ブッカー賞を受賞している。

BOOK BAR staff| 14:35 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月25日

骨が語る日本史

杏セレクト

著者:鈴木尚 學生社

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明治45年生まれの著者は東大名誉教授を務めた
医学博士であり人類学者。
この本では鎌倉古戦場の女性の骨など、
発掘された骨から日本史の謎を解明していく。

↓こちらが今年発刊された、解説付新装版の「骨が語る日本史」。
馬場悠夫さんによる解説が付いて、わかりやすくなっています。

    honegakataru.jpg

BOOK BAR staff| 14:15 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月24日

The Wrestler(レスラー)

初めから最後まで全編悲しみで覆いつくされた映画である。
「真の家族愛」「輝く生きざま」とかチラシに踊る
どこ見てんだかわからないコメントに騙されてはいけない。
この映画をそんな常套句で汚されては困る。

かつて栄華を誇ったプロレスラーがいかなる転落の軌跡をたどったかは
一切触れられていない。
しかし、娘との会話、ストリッパーへのすがりつくような
情けない愛情表現でおよそどんな人生であったかは想像がつく。
若い人はミッキー・ロークを知らないだろう。
「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「ナインハーフ」で
当時の女性たちは熱狂した。
私も男ながらすごい役者が出てきたと驚いた。
それがいつの間にかメジャーな映画から姿を消し、
しばらくして見たミッキー・ロークは猫パンチを繰り出す
ブヨブヨのインチキボクサーに変わり果て、
だれが見ても八百長の試合の末、
次はプロレスの試合に乱入し、お約束を果たす、
役者の影をどこにも見ることの出来ないダメ人間になっているように思えた。
それだけでも悲しい、切ない話である。
どんなことが彼の身に起こったのか知る気もないが、
映画と透かし絵のようにダブって見えてくる。

男は誰もミッキー・ロークが演ずるレスラーに自分を重ねるのではないだろうか。
どんなにかけ離れた人生を送っていたとしても、
自分にもこの転落の罠が仕掛けられているように感じる人もいるだろうし、
リアルにこうなりかねない可能性に気が付いている人もいるかもしれない。
私は後者であった。
それが悲しくて、何度も涙した。

捨てられ、見放され、最後くらいはプライドを見せたい。
ダメな男の意地を見せたい。
救いは一瞬の光を放つシーンであるが、
そこでレスラーが振り返るともう誰もいない。

悲しい、切ない。悲しい、切ない。

しかし、役者ミッキー・ロークは意地を見せた。
何を続けて見せてくれるのであろうか、
しばらくじっと待っていよう。
マリサ・トメイも歳をとったが、一向に魅力は失せない。
二人の役者を見て泣いてください。

「レスラー」オフィシャルHP

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 02:14 | カテゴリー:映画部

2009年07月23日

世界中、知らんことだらけ

あー、知らないこと、知りたいなー。
見たことのないもの、見たいなー。
聞いたことのないもの、聞きたいなー。
食べたことのないもの、無理のない範囲で食べたいなー。
というのが、私の基本的行動原理である。

特に世界に限ったことではない。
日本中知らないことだらけであるが、
外国に出かけるほうが、ショックが大きくて、しぼんでしまったり、
やたら気が大きくなったりするので、どちらかと言えば外国好きである。

本は良いですよ。
「世界中を旅することはできない。そのために本がある」
ミラ・ナイール監督の撮った「その名にちなんで」の
主人公の父親が言った言葉である。
この映画、良いですよ。
ニューヨークとインドが舞台になっています。
DVDで借りて見てください。

しかし、私の場合、読む本の内容を恐ろしい勢いで忘れてしまうので、
ときどき「あの本はよかったねえ。とくにあの場面で主人公が言ったあの言葉」
とか胸を張って暗唱してくれる人がいるが、信じられない。
読めば、次、読めば、次。
忘れられないくらい素晴らしい本なら、忘れないだろうし、
忘れてしまったにしろ、どこか無意識の小部屋に埃のように、
少しずつ溜まっていくものがあるだろうと納得させているのだが、
読んだか読まなかったかも怪しい本が本棚の奥から出てきたり、
「最高に面白いねこの本は」と読み勧めていくうちに
「ありゃ、これ読んだことあるわ」
なんてこともあるので、不安でしょうがない。

私にとっては、本が存在しないと生きていけないというくらい
人生で重要なものであるが、やはりこれがすべてではない。
実際に人と出合ったり、不思議なものを見たり、驚いてみたり、怒ってみたり、
考え込んでみたり、なんやかんやすることはもうすぐ52歳になる私としては
やはり、とても大事なことやったなあ、
これからもそんなこと続けんといかんなあ、としみじみ思う。

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ハワイには仕事で何度も行ったし(不思議なことに撮影では行ったことがない)、
プライベートでも恥ずかしながら、ダラーンとしに何度か訪れた。
何年か前、マウイ島で車を走らせていると、赤茶けた土地に広場があり、
なにやら妙なものがたくさん並んでいた。
近づいてみるとお墓であった。
すごい数の墓。
すべて日本語で名前、没した日が彫られている。
ハワイ移民のお墓である。
亡くなった年を考えると一世、二世の方々ではないかと思われる。
生まれてすぐ、あるいは、ほんの数歳で亡くなった子供の墓も多い。
すぐそばにあるリゾートホテルでとろけていた私は
別に悪いことをしていたわけではないが、
どんな気持ちで亡くなったのだろう、と考え込んでしまい、
何度かその墓地に足を運び、写真を撮った。
この墓地をテレビで紹介されても「へー」くらいにしか思わなかっただろう。
偶然見つけたときのある種の衝撃は、それをどう解釈するにしても
一生忘れないであろう。
もっともっと衝撃的なことは何日でも語り続けられるほど胸に溜まっているし、
私の思考回路のどこかに溶けて、血になったり肉になったり、
神経組織となっているかもしれない。

今この経済状況でこんなことを書くと顰蹙を買いそうだが、
日本では会社を一旦辞めて長い旅に出ると、
ドロップアウトの宣告を受ける。
だから日本人はいい歳をした男のバックパッカーが少ない。
働き続けることは素晴らしいことでもあるが、
そんなに長くもない人生、何がどうなるかわからない。
海を渡ってみることも悪くないですよ。

労働流動性の問題、法律ひとつで変わるものではありません。
こんな状況だからこそ、
根本的なところから考え直すにはいい機会だと思うのですが。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 10:26 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年07月22日

ズーリックって何だよ

「世界地図帖」を紹介していた時に日本は現地発音主義で
地名を表記していると申し上げた。
これは旅をしているとありがたいことで、
現地で「そりゃどこのことだ」といぶかしがられることはない。
ただ、地名だけの話で、
アメリカで「マクドナルド」だとか「マクド」と言っても全く通じない。
「マクダーナル」と言ってくださいね。通じます。
同じような話ではパリに“Gare de Lyon”という駅があるが、
日本人にはフランス語のrがうまく発音できない。
この場合「ギャグ・ド・リヨン」と割り切って話すと通じます。

中国語はややこしい。
たくさん言葉があり、ほとんど通じないくらい発音が異なる。
そのため普通語というほとんど北京語と同じ発音の言葉が
全国に普及している。
外国人はいくつも言葉を覚えなくてすむのでありがたいが、
嫌だね、と思っている人もいるはずである。
さて、日本ではどう発音するか。
たとえば北京はベイジンがペキン、上海はそのままシャンハイ。
これくらいはすんなり来るのだが、
四川は四川語ではなんと言うのか知らないが、
日本ではシセンである。ただ、普通語ではスーチュアンが正しい。
四川の首都、成都はほぼチャンドゥと発音する。
香港は広東語ではホンコンだが、普通語ではシャングアンである。
現地発音主義と言ってもそれぞれの国の事情があるので
簡単にはいかないのである。

日本語も現地発音主義はいいのだが、必ずしもそうなっていない。
一番いい例がイギリスである。
英国でイギリスと言っても自分の国のことを言われていると思う
イギリス人は皆無である。
何故イギリスと呼ぶようになったかは面倒なので省くが、
この国はどの国でも呼び方が定まらない謎の国である。

インドでは地名の変更がこのところ富に盛んでややこしい。
イギリス植民地時代に呼ばれていた地名を
その前の呼び方に戻しているのである。
ボンベイがムンバイに変わったのはよく知られているが、
ここで作られた映画はボリウッドムーヴィーである。
カルカッタはコルカタ、マドラスはチェンナイに変わった。
日本でベナレスと呼ばれるヒンズー教の聖地は
英語名のベナリースから来ているが、独立後はヴァーラーナシーに変わった。
そしたら今度はバナーラスが正式名称に変わったと言われるが、
駅や空港はヴァーラーナシーのままである。
よくわからない。

さて、現地発音主義を無視して傍若無人な発音で押し通しているのが
英語を母国語としている連中である。
もうびっくりすることばっかり。
ロンドンに赴任してチューリッヒに出張することになったのだが、
総務のイギリス人に「チューリッヒに行くよ」と言っても全然通じない。
「だからここだよ」、と地図を見せると「あー、ズーリック」と大笑い。
私がアホのような扱いである。
同様にフィレンツェはフローレンス、ブリュッセルはブラッセル。
これくらいはまだ可愛いが、ナポリはネイプルズ、ミュンヘンはミュニック、
セヴィリァはシヴィルになる。英語で読み通せるものは英語読みに変え、
読めないものは綴りを変えてまで発音しやすいようにしてしまう。
東京なんてエドですぜ。これは嘘。
日本の地名は変えようがないようである。

てなことを面白がりながら、地図を見るのも楽しい。

                       大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 03:38 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年07月18日

7.18 OA  姫神 JOY DIVISION NINA HAGEN and more

1 LA MER / CHARLES TRENET 

シャンソンの名曲。
フランス語では海は女性名詞になります。
1946年のリリース。
大戦後のパリジャン(ジェンヌ)たちはこのメロディーで
癒やされていたんでしょうね。


2 青い花 / 姫神

姫神は80年代から活動しているシンセサイザー奏者・星吉昭の
ソロ・ユニット。
東北をベースにして自然とのかかわりをテーマに、
「北人霊歌」を発信して世界的な評価を得る。
映像ドキュメンタリーとの関わりも深く、
多くのNHK作品に曲を提供している。
2004年に吉昭氏が亡くなってからは、息子の吉紀が中心となり
新生・姫神として活動中。


3 SLEDGE HUMMER / PETER GABRIEL

この曲のPVは数々の賞に輝きました。
手掛けたのはクレイアニメーションの傑作「ウォレスとグルミット」で
有名なイギリスのアードマン・スタジオ。


4 LOVE WILL TEAR US APART / JOY DIVISION

マンチェスターで結成されたポストパンクの先駆け。
活動期間は短いが、英ロック史を語るうえで欠かせない重要バンド。


5  NUTRIDINHA / CESARIA EVORA

西アフリカ・セネガル沖にある群島カボ・ヴェルデ出身の
裸足のディーバ。
カボ・ヴェルデは旧ポルトガル領で、アフリカ大陸と南米を結ぶ
奴隷貿易の中継地だった。
セザリアの歌にヨーロッパの哀愁とアフリカの躍動感が共存しているのは、
そんな歴史の暗部が影響している。


6 AFRICAN REGGAE / NINA HAGEN 

まだクラブカルチャーが確立する前の80年代に、
朝日を嫌う都会のヴァンパイアたちに支持され
一世を風靡した東ベルリン出身の妖女。
レゲエにオペラにヨーデルというあり得ない組み合わせが
彼女の法力によってトランシーに響く。

BOOK BAR staff| 14:46 | カテゴリー:SONG LIST

2009年07月18日

世界地図帖 ワールドアトラス

大倉眞一郎セレクト


監修:中野尊正 国際地学協会

1984年発行版なので、いまはもう存在しない国も。
東西ドイツが統一したり、ソ連が解体したり、
ユーゴスラビアが7つに分かれたりと、
当時からは信じられないことが現実には次々と起こっている。


地図とリンクして世界のニュースを知ることができる、
こちらの本もオススメ↓↓↓

chizudeyomu-1.jpg chizudeyomu-2.jpg

「地図で読む世界情勢」草思社刊
イランの核問題、中東情勢、そしてアフリカが抱える問題などが、
決して一箇所だけで起因する事象ではないことを、
立体的にイメージしやすくなるのではないでしょうか??

BOOK BAR staff| 14:35 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月18日

僕僕先生

杏セレクト

bokuboku.jpg nakushimono.jpg hakuhi.jpg

著者:仁木英之  新潮社

舞台は中国唐代。
主人公は父親の財に寄りかかるニート青年と
僕僕と名乗る美少女の2人。
実は少女は何千何万年も生き続ける仙人であった。
不老不死にも飽きた辛辣な美少女仙人と、
まだ生きる意味を知らない弱気な道楽青年が、
天地陰陽を旅する大ヒットシリーズ! 
「日本ファンタジーノベル大賞」受賞作。

BOOK BAR staff| 14:14 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月17日

SPINAL TAP

これまで一度もDVDで見た映画については
触れたことがなかった。
映画は劇場で見ないと、面白い時は面白さが半減されてしまうし、
つまらない時は同じくらいつまらない。
基本的に見逃してしまったものはDVDで見てはいるが、
本当に感じたであろう印象が伝えられなくなってしまうので、
あえて避けておりました。

しかし、こんな映画があることを俺は知らなかったな。
日本未公開なのでDVDで見る以外に方法はない。
アメリカですでに伝説となり、その後もさまざまな形で影響を残しているのに
何故日本で公開されなかったのであろうか。
買い付ける人間が馬鹿ばっかりだったということである。
実はこの映画のことを知らないのは、
私だけではなかろうかと心配している。
アメリカでは1984年に公開されている。
この映画のことを知らない人間は赤ちゃん以外はいないらしい。
最近では「最高の人生の見つけ方」を撮ったロブ・ライナーの
初監督作品である。
この人良い映画撮ってる。
「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」「ア・ヒュー・グッド・メン」とかね。
このふざけた映画でデビューして、小さなマイケル・ムーアみたいな
ことになっているのかと思ったら全然違う成長を遂げていた。

イギリスのみょうちきりんなリバプールサウンドみたいなものから
ヘビメタポップのようなものに変身したロックグループの嘘ドキュメンタリーである。
ただ、嘘とは恐ろしいもので内容はどうあれ、受けてしまえば本当になる。
映画を撮った時点ではスパイナル・タップというグループは存在していなかったのだが、
この映画がカルト化してから映画と関係ない2ndアルバムを出したり、
2007年のライブ・アースに出演したり、
2005年にはアメリカの音楽誌Mojoの歴代ベストロック映画で1位に輝いてしまっている。
2位がザ・バンドの「ザ・ラスト・ワルツ」なのでまんざら冗談だけで
1位に選ばれたわけではなかろう。

笑える。
私の場合は笑いっぱなし。
クスクス笑いの人もいるらしいが、爆笑が正しい。
最近になってこの映画のことを知ったのだが、
何がきっかけだったか思い出せない。
日本でDVDが発売されたのが2006年、
レンタル開始が2007年なので知らなくても仕方なかった、
と自分を慰めているのだが、
番組スタッフは知ってるんだろうなあ。
杏ちゃんにまで
「大倉さん、知らなかったんですかー?」
とか言われたら立ち直れないので、言わないでほしい。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 03:12 | カテゴリー:映画部

2009年07月11日

7.11 OA  ERIC CLAPTON 井上陽水 KHALED and more

1 THE LOOK OF LOVE / DUSTY SPRINGFIELD 

杏ちゃんがスパイ物の連ドラに出演することになりました。
いよいよ来週からオンエア!
この曲はスパイ物の王道007作品の挿入歌。
007といっても本家シリーズではなく亜流の方。
亜流の挿入歌がスタンダードになってしまうんだから、
007ブランドのご威光は強力だ。
名匠バート・バカラックの作品。


2 TEARS IN HEAVEN / ERIC CLAPTON 

高層アパートメントから転落死した4歳の息子に捧げた
1992年のナンバー。
全米2位を記録。


3 LOSING MY RELIGION / R.E.M.

米オルタナ・ロック・シーンの大御所バンド。
シングルヒットの少ない彼らには珍しくチャート上位を記録し、
グラミー賞2部門に輝いた。
PVを監督したのは、後に映画「ザ・セル」や「落下の王国」を手掛けた
広告映像界の鬼才ターセム。


4 コーヒールンバ / 井上陽水

1960年代に西田佐知子が歌ってヒットさせたエキゾチック歌謡。
元はベネズエラの作曲家によって書かれた「コーヒーを挽きながら」。
日本音楽界の先鋭を従えた陽水バージョンはジャジーなアレンジで
妖艶な雰囲気を醸し出している。


5  ペルシャの市場で /ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団

イギリスの作曲家アルバート・ケテルビーが1920年に書いた
管弦楽曲。
クラシックの入門編として広く親しまれているナンバー。


6 RAIKOUM / KHALED 

アルジェリアの流行歌ライの帝王として、
その名を轟かせたハレドだが、近年は自身のルーツに接近した
マグレブ文化圏のスタイルを押し出した楽曲を多く歌っており、
アラブの人々から幅広い支持を得るようになっている。
この曲はワールドミュージックの名プロデューサーである
マルタン・メソニエと久しぶりに組んだ5年ぶりの新作『リベルテ』に収録。
邦題は「あなたの掟、あなたの意見」、
コーラスにはボブの妻リタ・マーリーが参加している。

BOOK BAR staff| 14:46 | カテゴリー:SONG LIST

2009年07月11日

シェヘラザードの憂愁

大倉眞一郎セレクト

    sye.jpg

著者:ナギーブ・マフフーズ  河出書房新社


世界的な古典「アラビアンナイト〜千夜一夜物語」の後日譚を創作。
著者はアラブ圏としては初のノーベル文学賞受賞者である。

BOOK BAR staff| 14:30 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月11日

心にナイフをしのばせて

杏セレクト

    kokoroni.jpg

著者:奥野修司  文春文庫


著者は神戸で起きた酒鬼薔薇事件の真相を解明するため、
28年前に遡り、1969年に川崎のミッション系高校で起こった
同級生による惨殺事件を取材することを決意する。
犯人である少年Aと被害者の遺族のその後を丹念に追いかけた
渾身のルポルタージュ。

BOOK BAR staff| 14:10 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月08日

プノンペンの消費社会

カンボジアのプノンペン、ラオスのビエンチャン、
どちらでも、できたてほかほかのトヨタの
馬鹿でかい四輪駆動車があんまり走っていないが、
そこかしこに駐車されている。
しかも、色はみんな黒で、ピッカピカに磨き上げられている。
決して商品展示されているわけではなく、
明らかに使用されているものである。
みんながそんなものに乗っているわけもなく、
またあらぬ疑いを向けるのであるが、
日本でも小さな車が大人気というのに、
誰がいったい所有しているのであろうか。
どちらの国も首都を外れるとかなりきつい道路事情なので、
やむなく四駆かとも思い込もうとしたが、やっぱりねえ。
皆さんも考えてみてくださいね。
ちなみに、ガタボコの道でかの車らを見かけたことは一度もない。

カンボジアはラオスと比較すれば消費経済が進行している。
特にプノンペンは大きな都市でいくつも市場があって楽しめる。
カンボジアというと観光客はアンコールワットを目指すので、
シェムリアップのみ訪れることが多いが、
プノンペンもグジャグジャしていて面白いですよ。
街だけのことで言えば、私はプノンペンのほうが好き。

0708okura-1.jpg

上の馬鹿でかいドームはプノンペン最大のマーケット、
セントラルマーケットの中心部である。
外側から見ると巨大なお城にも見える。
ここにないものはない。
えー、そのはずです。
ルイ・ヴィトンとかは「ないものはない」ということで、
ご理解ください。
いやマジな話、高級ブランド以外のものはすべてここで手に入る
と思っていただいて結構。あるはずのものがなかったらご一報ください。
商売を始めれば儲かるかも。
写真に写っている中心部は綺麗に区画整理されているが、
周辺部に行くに従い、通路は狭くなり、迷路と化してくる。
生鮮食品、家電、宝石、時計、衣料、マニキュア・ペディキュアの美容コーナーetc.
そういや仕立て屋まであった。
グルグル回って汁麺を食うのである。
結局、何も欲しくない私はどのマーケットに行っても汁麺以外消費しないが、
こういう場所だと私には無駄だと思える消費をしているのを見るのが楽しい。
カンボジアの消費社会のシンボル。

0708okura-2.jpg

こちらは明らかにセントラルマーケットではないね。
恐らくシアヌークビルのマーケット。
強力な陽が差すので野菜、肉、魚の売り場の上にはどこも
青いビニールシートが張られている。
暗くて写真をとるのには不便するのだが、
この怪しさがまた心を躍らせてくれて、うまい汁麺を探すモティベーションになる。

私の場合、とっくにお気づきのようにどのマーケットに行っても
写真を撮る、汁麺を食う、これ以外には興味はない。
それはよく考えれば、日本でも同じである。
少なくとも衣、食、住についてはどんなオンボロであっても
どうにかなる金を持っているからである。
たまたま私はその他、本とCD以外には興味が向かなかったが、
世の中には持てば持つほど持ちたくなる人が多いらしい。

「100億持っているとどうしたくなると思いますか」
「・・・・」
「1000億にしようと思うんですよ」
と誰かが言っていたような気がするが、人それぞれである。

ウォール街を莫大な給与、ボーナスを手にして去って行った人間が
大量にいるが、彼らは何を消費したいのであろうか。
私には謎である。

一人ひとり聞いて回って本にしてみたいが、誰か乗りませんか。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 07:12 | カテゴリー:

2009年07月06日

消費社会のゆくえ

前回私が紹介したのは「貧乏神髄」であるが、
実は辻井喬と上野千鶴子の対談「ポスト消費社会のゆくえ」と
どちらを選ぶべきか大変迷っていた。
辻井喬は元セゾングループ総帥の堤清二である。
本名が堤清二で辻井喬がペンネーム。
なのだが、本の中で上野千鶴子が指摘しているように、
あたかも堤清二という仮名の企業人と本音を語る辻井喬がいるような
逆転現象が読み取れておもしろい。
上野千鶴子は社会学の権威兼恐ろしいフェミニスト、
というイメージが強かったのだが、
論理的思考に優れつつも、心の機微、情緒も持ち合わせている方であった。
で、取り上げかけたのだが、私が辻井喬の本を読んだことがないことを思い出し、
また今度にしようと思った。
しかし、私の中で「貧乏神髄」とかぶるので、もう改めて紹介しません。
文春新書から出ています。
興味のある方はどうぞ。→こちら

あえてもう一言付け加えるなら、
「何故『ポスト消費社会』なのか」
ということであろう。
私からしてみれば現在、大不況と言われながらも、
大量生産、大量消費を目指す方向は変わっておらず、
「ポスト消費社会」という言葉は不適当ではなかろうか、と思われる。
彼らが言う「消費社会」というのは、
あくまでもかつて西武や丸井に代表されるようなデパートが
消費を引っ張り、あたかも消費=文化的生活、「自分発見」への
道であると喧伝していた頃の社会を指している。
であるから、懐かしい昔話のオンパレードで
ちょっとしらける方もいらっしゃると思う。
私は今も基本的な消費傾向は変わっていないと考えている。
専門店化、ネットでの買い物等に形態が変わっただけである。
ただし、大方の見方のように不況から脱すれば、
世界中、元通り物を買いまくるか?
私は消費への欲望について否定しているわけでは決してない。
必要なものは必要に応じて、必要でないものも欲望に応じて
人間の奇妙な行動原理にあわせて買えばいいと思うが、
その行動原理も文化的なものであるから、
所変われば全く別の形態もあることは承知しておいてもいいだろう。

さて、消費において最も優先されるのは食べ物である。
食わなきゃ死ぬからである。
うまいまずいは味覚の違いにもよるが、
価値観の差でもある。
「こんなまずいものが食えるか」
と言い放つ人でも、食うものがなくなり、
「まずいもの」しかない状況におかれれば、
まずその「まずいもの」を食う。
食わないで餓死を選ぶ人もいるはずであるが、
それは、よほど個人の食べ物に対する文化(幻想)意識が強いわけであるから、
ある意味賞賛に値するかもしれない。

ラオスの首都ビエンチャンから北はほぼ山の中と言っても良い。
ルアンパバーンという古都は小さいながらも、
観光地として成立しているので、
ちゃんと西洋人向けのふざけた値段のメニューを置いているレストランが多くて
頭に来るのだが、そこからさらに北に向かうと、
よほどの物好きでないと旅行者はいないため、
町の食堂かマーケットの屋台でみんなで仲良く食事を摂る。
マーケットも北に行けば行くほど規模が小さくなり、
何でも揃っているマーケットではなく、
食い物だけしみじみと置いてあるものに変わる。

0706okura-1.jpg

少数民族のお歳を召した女性は民族衣装でやたらと筍を売っている。
私が行った時期が筍の季節だっただけなのだろうが、
山の中で暮らす人々はとにかく筍だけ並べまくる。
地べたに何人も列を作って売っているのだが、
大繁盛のお店はない。
これ売んないと、他のものが買えないのだろうから、
困るだろうに客の取り合いという喧嘩もなく、
じーっと静かに座り込んだままである。
売れないと筍ばかり食べるのだろうか。
結婚式に乱入した時に筍の煮物をいただいたが、
姫筍を一回り大きくしたくらいのものなので、
柔らかくてとてもおいしい。
自炊が出来れば、焼いたり煮たり、超ご馳走である。

0706okura-2.jpg

蛋白源は肉もあるが、魚も重要である。
もっと立派な魚を水槽で売っている店もあるのだが、
この方々はやはり少数民族のようで、
マーケットの一番端に場所を与えられていて、
やはり売れ行きは芳しくない。
魚は私には鮒にしか見えない。
鮒ね。
実は私は鮒は苦手。
あの鮒売れたかしら。

気になりつつ、屋台でカオ・ソーイという肉味噌のかかった
汁麺を食って帰る私である。
そのカオ・ソーイ、とてもおいしいのだが、日本円で約50円。
彼らにとって安いのだか高いのだか実感できないのが、残念。
多分安いということはないはずである。

ラオスの山の中も日本とは少々異なるが消費社会である。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 07:20 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年07月04日

7.4 OA  チャットモンチー はっぴいえんど 忌野清志郎 and more

1 SATURDAY IN THE PARK / ROUTINE feat. SOFA KING 

独立記念日の出来事を歌ったシカゴの名曲。
ロック・クラシックをダンス系アーティストがカバーすると、
たいていは元曲の良さが台無しになってしまうのだが、
この曲は数少ない成功例。
ピアノのリフが効いています。


2 まぼろしの影を追いて / 森山良子 

讃美歌510番。
ポップスシンガーとして高名な森山の『愛唱讃美歌名曲選供戮茲蝓


3 息子 / チャットモンチー

奥田民生のトリビュート盤『奥田民生・カバーズ』より。
まだ20代前半で、未婚のチャットのメンバーが、
まだ見ぬ子供を想い歌っていると考えると実に味わい深い。


4 I’M YOURS / JASON MRAZ

米ヴァージニア州出身のシンガーソングライター。
オーガニックでロハスな佇まいが非常に21世紀的。
世界中のリスナーから愛されている名曲です。


5  風をあつめて /はっぴいえんど

日本のロック史を語る上で欠かすことのできない最重要バンドの
いつまでも錆びない最重要曲。


6 田舎へいこう / 忌野清志郎 

愛と自由と自然を信じる人のための賛歌。
フジロックフェスの創設者であるスマッシュの日高氏が直々に
依頼して書かれたフジロックのテーマソングです。
きっと今年もフェス初日の開場時には、
苗場の山にこの曲が鳴り響くんだろうな。
元ネタはキャンドヒートの「GOING UP THE COUNTRY」。

BOOK BAR staff| 14:46 | カテゴリー:SONG LIST

2009年07月04日

貧乏真髄

大倉眞一郎セレクト

    binbo.jpg

著者:川上卓也  WAVE出版

写真家を志して脱サラした著者は、
茨城県下にある陸の孤島といわれていた町に
移住し貧乏生活をはじめる。

無駄な消費を廃止、豊かな生活をするためのヒントがここに!

BOOK BAR staff| 14:30 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月04日

かあちゃん

杏セレクト

    kachan.jpg

著者:重松清 講談社

以前番組で紹介した「流星ワゴン」では父子の関係を描いた
ベストセラー作家がこんどは母について書いた一冊。
第一章から第八章まで、それぞれ独立した短編が連鎖していく。

BOOK BAR staff| 14:10 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年07月02日

それでも恋するバルセロナ

ウッディ・アレンを嫌いな人は、本当にこの人のことが嫌いだろうな。
好きな私でもうんざりすることがあるくらいだから。
ほとんどの作品で登場人物はよくしゃべる。
登場人物がそうでもない場合は、ナレーションがかぶる。
伝えたいことが溢れ出てくるというより、
誰かが何かを解説していないと、気が済まないのだと思う。

この「それでも恋するバルセロナ」もうるさい。
静寂と言わないまでも、静かな時間さえない。
でも今回は良く出来ているので、許す。
面白い小説をめくるような快感がある。
ペネロペ・クルスのおばさん的肢体も毒を持った蘭
(そんなものがあるのかどうか知らないが)
のようで、充分魅力的だし。
ハビエル・バルデムはこれまでの作品とまるで印象が違ったので、
最初は全然気が付かなかった。
真面目にやっているんだか、
遊び半分でやっているのかわからないのがいい。
ウッディ・アレンはスカーレット・ヨハンセンが大好きなようで、
このところ彼女が主演する映画と立て続けに撮っているが、
相性は悪くないように見える。

ウッディ・アレンはもてる。
本当はもてているのか、口説くのがうまいのかわからないが、
いつも美人に囲まれている。
これでウッディ・アレンもスカーレット・ヨハンセンも離婚して、
くっついちゃったりしたら、おじさんとしては希望が持てるかというと、
全然逆で、頭にきてもうこいつらの映画は見ないということになる。
私は己を知っているのである。

ウッディ・アレンにとってこれが41本目の監督作品になる。
よくもまあ撮ったものだと思う。
監督をする作品では脚本もすべて自分が手がけている。
昔は好きな作品、嫌いな作品がテレコで公開されていたのだが、
最近は私の中では好きなものが多い。
特に本人が出演していない作品が良い。
もしかしたらずっとそうだったかもしれない。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 02:16 | カテゴリー:映画部


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