2009年05月30日

5.30 OA THE CARPENTERS CORNELIUS 大西ユカリ and more

1 HEART OF GLASS / BLONDY 

「おっぱいバレー」の話が出ていましたが、
映画版の時代設定は1979年、映画ではピンクレディーや
ツイストなど当時の歌謡曲ヒットが雰囲気を盛り上げていましたが、
ここでは79年の洋楽ヒットを。


2 YESTERDAY ONCE MORE / THE CARPENTERS 

いわずと知れたカーペンターズ最大のヒット。
この曲の歌詞にも出てくるように、
ラジオからこの曲が流れてくると暖かい気持ちになります。
今年は結成40周年にあたります。


3 CHINESE SOUP  / 荒井由実

名作『コバルト・アワー』から。
軽快な曲調の裏にはユーミンならではの隠し味が……。


4 CALL ME SUPER BAD / JAMES BROWN

JBのファンク・クラシックスをコーネリアスがREMIXED。
CMソングやリミックスワークを集めた最新アルバム『CM3』より。
小山田氏は鉄壁のサウンド作りもさることながら、
デジタル世代のアーティストらしく、音と映像のリンクにも
尋常じゃないこだわりを見せる。
同時に発売されたライヴDVDを見ると、
強烈なビジュアルメッセージに酔いしれることができる。
おそらく今の日本では椎名林檎と双璧。
コンテンポラリーアートに興味のある方はぜひ!
観客を巻き込むアンコールの感動は、
我々が21世紀に生きている証といえる。


5  MEET ME IN THE RED ROOM / AMIEL

バズ・ラーマン監督の「ムーラン・ルージュ」のサントラ収録。
数々のキッチュなカバーソングが並んでいましたが、
この曲はオリジナル。
歌詞もアミエルが書いています。


6 新世界物語 / 大西ユカリ  

平成のゴッドねえちゃんこと大西ユカリ初のソロ作品
『HOU ON』から。
アルバムタイトルは報恩とHOLD ONをもじったもの。
愛のこもった駄洒落です。
この曲では立飲みソウル系の好事家にはたまらん組合せ、
東男ならぬ吾妻光良との夢の競演が実現!
おおきに!

BOOK BAR staff| 14:45 | カテゴリー:SONG LIST

2009年05月30日

私が、答えます

大倉眞一郎セレクト

    watashiga.jpg

著者:竹内久美子  文藝春秋


週刊文春で連載されていた内容を、テーマ別に再構成したもの。
動物行動学者である著者が人間の男女関係や、営みに関する
数々の疑問に対し、自らの専門学的見地から答えていく。

BOOK BAR staff| 14:37 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月30日

夜中にジャムを煮る

杏セレクト

    yonakani-jam.jpg

著者:平松洋子 新潮社

フードジャーナリストである著者が、
食べることと結びついている
ささやかでいとしい幸福の瞬間を描き出す、
台所をめぐる17編のエッセイ。

ぱくっ

BOOK BAR staff| 14:20 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月29日

日常の憂鬱と僥倖

前回の放送では杏ちゃんと「日常」というコトバに潜む
怪しげな罠のようなものについて話をした。してない?

日常という価値観もすべての価値と同様に主観的、相対的なもので、
「これこそ誰も文句のつけようのない日常だ」
なんてものは存在しない。
「サザエさん」の世界だって見ようによっては相当日常じゃないよ。

0529okura-moon.jpg

とは言いつつ、日々暮らしていると別の日常に飛び込みたくなり、
私は旅にでる。ダレダレ、ダラダラの旅なので
気が付くと日常化したりしている。
でも、そっちのほうが見えないものが
見えてきたりするから不思議なものである。

0529okura-banana.jpg

インドのバナナ市場に紛れ込んだときは
あまりにも「日常」口にするものが、
こんな普通のインド人でも入ってこない、
紛れ込んだ人間には「非日常」に見える所で
取引されているのに驚いた。
でも、そこで働く彼らには
「毎日毎日がバナナ」の日常である。
バナナな日常。

0529okura-lake.jpg

ロンドンでは7年間、毎週土日、必ず近くのリージェンツ・パークへ行って、
アヒルやリスに餌をやっていたが、
これぞ究極の日常。
イギリス人は変わらない日々を愛する、
というかあきらめている。
そんな日常にふと意外な光が差す瞬間があったりする。
私は小さな感動を喜んでいた。

「自分に負けるな」
「あなたは時間を無駄にしている」
「夢を持て」
「走り続けること」

こんな言葉を聞かされ続けると、息苦しくて仕方がない。
私の生き方は波乱万丈のように言われることがあるが、
実際は小さな日常の積み重ねである。

                       大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 04:13 | カテゴリー:

2009年05月27日

追悼・栗本薫さん

栗本薫さんが亡くなりました

もう、報道で朝からニュースが流れていたので、
今更とも思ったが、やはりある意味、
これまでの私の読書人生で、一番長く、一番多くの本を読んだ作家なので、
私自身の決着をつける意味でも一言残しておこうと思う。

すべて正直に書くので、
「亡くなった方へ書くことか」とお怒りになる方もいらっしゃると思うが、
批判はそのまま受け止めるので、お許し願いたい。

もともと、私は栗本薫も
中島梓(主として評論、エッセイ、ミュージカル制作の時に
この名前を使っていた)も特に好きな書き手ではなかった。
何冊か読んで、4歳上のこの方の書くものは肌が合わないことがわかったので、
気にしている作家ではなかった。
ところが、半村良が「太陽の世界」全80巻を書くと宣言した時に、
「じゃ、私は全100巻の記録を作る」
と大御所に張り合うことを公にし、
80年に「太陽の世界」第一巻が出る前に、
79年に「グイン・サーガ」第一巻「豹頭の仮面」を発表したのである。
当時二人が実現可能かどうかもわからない構想を発表したので、
マスコミも面白がり、かなり取り上げられたし、
不確かな記憶ながら対談も行われたような気がする。
当時、栗本薫、弱冠26歳である。

それが面白くて、私は二人の作家の長編の行く末を見届けたくなり、
両方とも何があっても読むことに決めた。
ある程度の構想があったにしても
「とにかく長編を書く」というモティベーションだけで作家は書けるのか。
ともあれ心意気を買ったのである。
私が大学4年の時のことである。

ところが、第一巻の「豹頭の仮面」でいきなり栗本薫はつまずいた。
現在発売されているものは表現が変えられているが、
「癩病」の知識なしと言われても仕方がないというほど、
常識を疑う差別的な用語も用いて、
物語の初めの重要な部分を汚してしまった。
これは「コトバ狩り」以前の問題であり、
評論も行っている作家としては致命的な事件であった。
100巻どころか初巻で打ち切りになるのではないか、
半ばそうするべきだとも思った。
これは、後にマスコミが騒ぎ始める前に、
私が読みながら感じたことである。

彼女はあとがきを必ず書いており、
何巻目かに真摯な謝罪のメッセージがあったので、
しばらくは様子を見て、読み続けることにした。
実は今でも何故あの時あんな表現しか出来なかったのか
不思議で仕方がない。
機会があれば聞いてみたいところであった。

半村良は一度番組で話した気がするが、
89年に、早くも18巻まで書いたところで
「太陽の世界」については筆を置いてしまった。
どこかで理由を話しているのかもしれないが、
その年、私はアメリカに行き、そのままロンドン勤務になったので、
頭の中は未だに?マークだらけである。

栗本薫は一度も休まなかった。
何度も大病をしているが、書き溜めていたものもあったようだし、
調子が少しでも戻ると、本人は楽しくて書いていたのだろうが、
肉体的には無理を押して書き続けてくれたおかげで、
長く休んだという記憶はない。

100巻でお終いのはずであったのだが、
物語は膨らみに膨らんで、100巻で無理やり終わらせると、
何がなんだかわからなくなくなるということもあったろうし、
本人はもう登場人物が動くままに書いている様子だったので、
途中からは終わらせる気がなくなっていた、と私は思っている。
現在までのところ、正伝126巻、外伝22冊、
合わせて148冊が出版されている。
恐らく何巻かはすでに書き終えているはずであるから、
150冊にはなるのではないだろうか。

で、内容はどうなんだと問われると、答えに窮する。
30年150冊である。
血が沸くこともあったし、うまさに唸ったこともあったが、
本人意識していたかどうか、読んでいるほうからすれば
だるい、おそい、うすい、という時期も多々あった。
最近の数冊はお世辞にも命をかけて書いているという迫力はなかった。
毎回のあとがきには自身の病状も綴られていたので、
多分、未完に終わることは本人もわかっていたはずである。
21歳の時から51歳の今に至るまで、
もはや面白い面白くないを超えて、
ともに結末を楽しみにしようというある種の同士感さえ沸いてきていた。
膨らみきった物語である。
どうしても明らかにしておいて欲しかった謎が
いたるところに埋め込まれている。

異常とも思えるほど多作な作家であった。
グイン・サーガだけを読んでいた私にしてみれば、
他の作品には蓋をしてこれだけに全力を注入して欲しかった。
多分ほとんどの読者の感じているところであろう。

ネットで亡くなったことが伝わってすぐに、
「もう10年も読んでいる」、「20年付き合ったのに」
若い方々が、無念の思いをぶつけているが、
私は30年前の初巻の初版から付き合ってきたのである。
「君たちはあきらめなさい。私は納得がいかない」
と言いたくなる。

続きを書ける人は出て来ないであろう。
それは仕方がないだろう。

栗本薫、まだ56歳であった。
あと10年あれば終わらせてくれていたか。
怪しいところである。

心からご冥福をお祈りします。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 08:08 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年05月23日

5.23 OA RACHAEL DADD 奥田民生 FLEET FOXES and more

1 I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN / RACHAEL DADD 

ワールドスタンダードの鈴木惣一郎が好評だったビートルズの
カバー集に続いてバカラックのカバー集をプロデュース。
レイチェル・ダッドは英国ウィンチェスター出身のシンガー。


2 ALL THAT JAZZ / from OST “CHICAGO” 

天才振付師ボブ・フォッシーの代表作の映画版サントラから。
主演のレニー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズが
見事な歌と踊りを披露。
プロ魂が炸裂する2人の競演は艶やかでしたね。


3 何と言う / 奥田民生

現在、ユニコーンで全国をツアー中のOT。
5年前のアルバム『LION』からのナンバー。


4 WHITE WINTER HYMNAL / FLEET FOXES

シアトル出身の5人組バンド。
多彩な楽器編成によるサウンドを美しい多重コーラスで
ラッピングした神秘性に富んだ自然賛歌。
メンバーはまだ20代前半と若いが、60年代サウンドに傾倒していた
両親のレコードコレクションが大きく影響している模様。


5  Ayer la vi llorar / Haydee Milanes

キューバの新世代アーティストによるクールなキューバン・サウンズ。
歌のバックで鳴り響くローズ・ピアノがめちゃお洒落です。


6 A BRAND NEW DAY / 中村まり  

来月リリースされる4年ぶりの新作『Beneath The Buttermilk Sky』から。
中村まりは10代をアメリカで過ごしたこともあり、
全曲オリジナル英語詞で歌うことにこだわりを持つ。
今回はアメリカのルーツ・ミュージックを自分流に消化して
ほっこりした歌を聞かせてくれる。

BOOK BAR staff| 14:55 | カテゴリー:SONG LIST

2009年05月23日

ぬかるみに注意

大倉眞一郎セレクト

    nukarumi.jpg

著者:生田紗代 講談社

家族小説の旗手、生田紗代の最新小説集 。
些細な日常を通じて曖昧で不安定な20代女性の内面を描く表題作ほか、
家族、友人とのあてどない日常を描いた計4篇を収録。

BOOK BAR staff| 14:45 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月23日

案本「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」

杏セレクト

    anbon.jpg

著者:山本高史 インプレスジャパン

クライアントから「驚きをもって歓迎される提案」とは?
相手の期待を上回るアイディアを生む「脳内経験」とは?

売れっ子クリエイティブディレクターの
アイディア発想のメカニズムがわかる1冊

BOOK BAR staff| 14:26 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月23日

W. (邦題 ブッシュ)

この映画、誰と誰が似ていると比べるだけでもかなり笑える。
一番似ているのはコンドリーサ・ライスなのだが、
あんなにお追従笑いを浮かべてたのかどうかは不明である。
本当だったらかなり薄気味悪い。
コリン・パウエルは何とか馬鹿騒ぎを収めようと必死になっているのだが、
「お前だけがわかってない」
と無視をされるかわいそうな人である。
恐らく映画に描かれている通りだったのではなかろうか。
本物は押し出しが強そうな体格、面構えであるが、
心理的な面から採用されたのか、
結構情けない顔をした役者が演じている。
ラムズフェルドは一番誰も演じたくない役柄なのであろう。
顔は似ていないが、一番嫌な顔を作るのがうまい役者が採用されている。
チェイニーは本物より柔らかい顔になっている。
納得がいかない。
トニー・ブレアもほんの少しだけ登場するのだが、
いかにもイギリス人という顔をしているが、
発音も振舞いもいい加減である。
という具合に楽しめるので、
私の書いた感想は無視して楽しんでいただきたい。

さて、世紀のと言ってもいいほどのアホにドが付く戦争を始めた
ブッシュって閣下は本物のアホだったのかどうか、
映画ではどうなっているのか知りたかったが、
ドキュメンタリーではないので厳密に検証は出来ない。
ドキュメンタリーであっても無理ですけどね。
しかも監督がオリーバー・ストーンだからあることないこと作って、
叩きまくっているのだろうと思っていたのだが、
大人になったオリバー君はちゃんとおセンチなドラマも織り込んで、
「映画」にしていた。

ブッシュのパパ、パパブッシュはどうも
ジョージ・W・ブッシュ(以下Wとする)からは
パピーと呼ばれていたようだ。
イェール大学はかろうじて卒業し、ハーバードのMBAもWは取得しているようだが、
出来が悪い。すごく悪い。
はからずしもMBA取ったからって
社会で有意義な働きは出来ないことをWは証明してしまった。
何をやらせてもダメ、続かない。すぐに辞めて職業を転々としている
しかも、親父のコネで。
パパブッシュは何でこんなのが出来ちゃったんだろうと、
嘆くが、それでも親は親。
おまけに、これは映画ではでてこないが、Wは3回逮捕されている。
飲酒運転等で3回。
あまりアメリカの法律に詳しくないし、州によって異なるのだろうが、
現在はある程度以上の犯罪を3度犯すと
3アウト終身刑である。
飲酒運転はいまやどの国でも大変厳しい罰則がある。
事故を起こせばこれまで以上に罪は重くなる。
まあ、若気の至りで、それくらいのこと、
という時代があったのは事実であるが、
Wが逮捕されたのは30歳を超えてからですぜ。
そんなこんなで、パパブッシュは「もううんざりだぜ」、
とWに冷たく当たる。そこがおセンチなドラマなんですね。
ネタばれしてます?
これくらい大丈夫ですね。
それがわがまま放題のボクにはとても辛く、
突然俺はもうコツコツやる仕事には向いていない
俺も政治家になるって、テキサス州知事選に出たら受かっちゃってもう大変。
イケイケで大統領選に望むのである。
アメリカの不幸は開票で揉めに揉めたのがフロリダ州だったことである。
弟が州知事やってんだから。
このあたりは映画では割愛されているので、
知識として知っておいて損はありません。

「イラクは核武装している。証拠もそろっている。
化学兵器だって山のように隠している。
アルカイダとのつながりが確認された」

どう調べりゃそんな出鱈目が出てくるのか知らないが、
よく考えてみれば調べたんじゃなくて作った話なんだから、
何だって出てくるわけですがな。
イスラムのことをちょっと知ってりゃ、
オサマ・ビン・ラディンとフセインが繋がるわけがないんすよ。
「えーっ」と思った人は何冊か本を読めばすぐにわかります。

大量破壊兵器様、お願いですから出てきてください、
の願いもむなしく、そんなものはなかったことが後に確認されましたね。
パウエルは国連で嫌々ながら、
「証拠は上がっている」
と啖呵を切らされたが、どえらい赤っ恥をかくことになったのは、
皆さんも記憶に鮮明なことでしょう。
鮮明でない方は鮮明にしてください。
日本でも早々に
「アメリカの判断を尊重する」
と言って、
私の意向に関わらず、親友にしてもらった首相がいたが、
「大量破壊兵器が見つからないと言って、うにゃうにゃうにゃ」
と意味不明なことを言ったまま、俺はもう悠々自適よ、でいなくなる。
ここんとこはっきり総括してくんないかしら。
総括なんて言葉使わないか。

「愛国心」(このコトバは私は好まないが)に燃えた、
あるいは騙されてイラクに連れて行かれた、
殺されるか、殺すか、どちらも地獄の状況に晒されたアメリカの若者。
いったい何故自分が死ぬのか理解できないまま、
爆弾に吹き飛ばされたイラク人。

ワシントンD.C.の白い建物の中でインチキ書類を振りかざして、
「先制攻撃しかないっしょ」
とケロッと言い放つおっさん、おばはん。
空母の上でコスプレして、戦闘終結を宣言して、
恥に恥を重ねたW。

ホンマにこのおっさん、アメリカ大統領やったん?
と実感できる、不愉快極まりない、見といたほうがいい映画です。

2002年に出版されたマイケル・ムーアの
「アホでマヌケなアメリカ白人」の訳者松田和也氏があとがきで
Wのいくつかのエピソードを紹介している。
「ホワイトハウスはどんなところですか」
「白いよ」
「誕生日を迎えてどんなお気持ちですか」
「少し歳をとったような気がするよ」
W、高田純次とだったら結構いいコンビになったと思うんだけど。
高田純次に失礼か。

                         大倉眞一郎

『ブッシュ』公式サイト

                         

BOOK BAR staff| 05:08 | カテゴリー:映画部

2009年05月20日

天使と悪魔

ダン・ブラウンのこの小説は日本語訳が出てすぐに読んだが、
真っ正直なことを言うと面白いのか、つまらないのか
良くわからなかったので、しばらく判断を留保していた。

そのうちロンドン出張の際に「ダ・ヴィンチ・コード」を買って、
英語で読み、インドで読む本がなくなった時に、
古本屋で「Deception Point」のペーパーバックを買って読んだ。

ごめんなさい。
ダン・ブラウン、面白いですか?
私は「天使と悪魔」の内容を忘れちゃってたくらいだし、
「ダ・ヴィンチ・コード」は途中から????になってしまい、
読むには読んだが、すっきりしない。
映画を見てもなんだかよくわからなかったので、
多分英語のせいではないと思う。
「Deception Point」は暇つぶしにはいいくらいかも。
これ訳されるんですか。
訳される本をそんなふうに言ってはいけないので、
「なかなかの娯楽小説です」に変えます。
いや、そういう意味では本当のことです。

さて、そもそも第1弾が「天使と悪魔」なのに、
ラングドン・シリーズ第2弾というのは、おかしくないか、
と思いながらも豊洲ユナイテッド・シネマに向かったのは、
この映画を初日に見ると2ポイントもらえるからという、
実にショボクも後ろ向きの理由からであった。

本の内容を忘れていたという、おのれの頭の悪さもあるが、
期待しないで行くといいことがある。
反物質だの「神様のパズル」よりも程度の低い話ではあるし、
その展開の速さに「そんなにぶっ飛ばしていいのかよ」
と突っ込みたくもなるが、楽しめるのである。
カトリックが過去に犯した間違いを認めている、
さらに科学との共同歩調をとるというのは程度の問題で、
やや不自然な印象も残るが、ローマ中を駆け巡るので、
素直に観光気分にも浸れる。
「そこんとこはどうなのよ」
などと考えずに娯楽映画なんだから、ドキドキしてくださいよ。

しかし、イタリアは不思議な国やで。
カトリックの総本山があり、国民の大多数はカトリック教徒なのに、
出生率はほとんど日本と変わらない。
彼らはセックスをしない人々であるわけがないので、
絶対コンドームを使っているはずである。
法王がダメだって言ってるじゃん。
姦淫もいかんのよ。
そのあたり、よろしくお願いしたいところである。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 06:09 | カテゴリー:映画部

2009年05月19日

水子地蔵

私事ながら、ロンドン時代から続いている異業種の勉強会に参加して、
もう16年になる。ロンドンに赴任している会社員、役人の会だったので
帰国してからいきなり無職、無所属となった私は
居座ってよいものかどうか迷ったが、会員の励ましというか、
無関心に助けられて、いまだに出席している。
16年も毎月集まってはへべれけになるまで飲んで、
ちょっと勉強するのである。
普通、仲のいい友人とでも月一回会うのは難しいのに、
よく続いているものである。

夏は毎年、勉強がわりにみんなで旅行に行く。
説明すればするほどどういう会なのか、わからなくなるなぁ。

昨年は山形に出かけた。
目的は非常にわかりやすく、「うまいイタリア料理屋がある」
それだけである。
鶴岡市にある「情熱大陸」でも取り上げられ、
全国から客が押し寄せる奥田政行氏のアル・ケッチャーノである。
ここで昼食をとるために飛行機で行った。
この店、マジでヤバイっすよ。
無農薬野菜はもちろん、あらゆるものがうまい。安い。
すっかり波に乗った我々は昼の暑い最中、
一人ワインを一本以上飲むわ、際限なく食うわ、
満喫を超えて、晩飯が食えなくなるまで堪能した。
その飲み食いは異常だったらしく、
お店の方々も好きにさせとかないと、
暴れられては困ると思ったのであろう、
大変やさしく接してくださって、
「皆さん、健啖家でいらっしゃいますね」
と驚きつつ、あまり刺激を加えないようご配慮くださった。
私が最年少なのに真昼間から一人ワイン一本以上である。
問題ある団体である。

「奇蹟のテーブル 雨の日にはアル・ケッチャーノへ行こう。」
という本まで出版されている。
いろんな方が執筆されている。
アル・ケッチャーノのホームページから購入可能である。
また、先月末に銀座一丁目に「おいしい山形プラザ」が開店したが、
その中にアル・ケッチャーノが出店している。
山形まで行く必要がなくなった。
さらに、ちなみに、アル・ケッチャーノはイタリア語ではない。
山形弁である。
詳しくは「おいしい山形プラザ」へお問い合わせください。
迷惑がられても私は知りません。

アル・ケッチャーノのホームページはこちら

さて、いきなり本筋から外れっぱなしで、
本筋が付け足しのようなことになってしまったが、
やはり勉強が本分の私たちは歴史的建造物等にも積極的に足を運ぶ。
なんせ皆さんいい歳なので、何でも良くご存知で、
誰かが何かを解説しているから、退屈しない。

出羽三山、月山、湯殿山、羽黒山のうち羽黒山山頂の出羽神社に参拝した。
立派な神社で祭殿のほかにも樹齢最高600年にもなる杉の大木が連なり、
荘厳な空気に満ちている。

広場には立派な土俵が作られ、子供相撲が催されていて、
心和む一時であった。

そこで、大体私は旅の勘とでも言いますか、
外れたところに入り込みたくなる。

0519okura.jpg

ぐっと裏手に入ったところで唖然とした。
数限りない卒塔婆、風車が一寸の隙もなく、
なだらかな坂を埋め尽くしている。
「これは...」と振り向くと

0519okura-2.jpg

こちらは卒塔婆より数は少ないが水子地蔵がずらり並んでいる。

羽黒神社は修験道の神社なので神仏混淆しており、
卒塔婆、地蔵があっても不思議ではない。
が、この数は。
何故ここが水子供養の盛んな場所になっているのかは、
説明もなかったので未だに分からないでいる。

ただ、私は卒塔婆と地蔵にはさまれて、
生まれる前に子供を失った母親たちの悲しみが、
羽黒山の一部の空間の色を変えていたのを見て、
情けないことに驚くばかりであった。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 08:21 | カテゴリー:

2009年05月18日

黄泉の国の入り口

黄泉の国はどこにある。
「女神記」ではどこか海の中のさらに海底より地中深く、
というイメージであるが、
地底ではないという説もある。
古事記が書かれた頃の日本人の死生観を読み取るには
面白い材料である。

とは言いつつ、私は文学部出身である上に中国語も多少理解するが、
漢文はからきしダメである。
数学の問題と同じくらい、見ただけで気分が悪くなる。
だもんで、この問題については解説書しか読んだことがない。
詳しくご存知の方がいたら是非ご教授いただきたい。

ただ、なーんとなくのイメージは持っている、
というよりは勝手に作り上げている。

ネパールのナガルコットという2100メートルの山の上に
日の出とそこに浮かび上がるヒマラヤ山脈を拝みに行ったときに
黄泉の国への入り口とおぼしき場所を発見した。

前の晩に
「朝は日の出前にちゃんと起こすからね」
と言われていたので、さすが日の出が売り物の安宿だと感心していた。
朝5時前にいきなりドアがバンバンバンと激しく叩かれた。
「火事か!」
飛び起きたら、それがモーニングコールであった。
屋上に上がるとまだ真っ暗であるが、
霧で周囲一面覆われており、
日の出もヒマラヤも見えるわけないのがまるわかりである。
しかし、一度起きて、寒い中わざわざ屋上で手をこすり合わせているのである。
部屋に戻った隙に霧が晴れたら一生後悔する。
すると、時間が経つにつれ霧は晴れる気配がないのだが、
ヒマラヤ方面の空がうっすらピンク色に色付き始め、
だんだん手前の山が認識できるようになると、
なんともいえぬ風情のある絵が出現した。
どうせ写らないと思いながら開放、1/8秒くらいでシャッターを切ったら、
目が眩むくらい幻想的な写真になっていた。
一度年賀状で使ってしまったし、拙著「漂漂」でも発表したので、
ここでは紹介しない。
見たい方は本を買ってくださいな、といってももう売っていません。
恐ろしく売れなかったので処分されたものと思われます。
切ないですね。
気が向いたらこのブログでもう一度公開します。

0518okura.jpg

そういえば表に花畑があったことを思い出し、
どんな具合か眺めておこうと一人抜け出し、
霧の中を進むと「こは如何に」。
そこには濃い霧の中に小さくも色とりどりの花が
タナトスの香りを漂わせながら、
「こっちへ来い」
と誘っている。
何故こんなところに黄泉の国の入り口が?
帰れなくなってもいいからと半ば本気で花の中を
地中への穴を探してまわった。

そのうちに霧が消えてなくなり、直射日光が当たり始めると
黄泉の国の入り口は閉ざされ、
しょぼくれた花が所在なげにたたずんでいた。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 06:09 | カテゴリー:

2009年05月16日

5.16 OA 坂詰美紗子 COLDPLAY 吉田美奈子 and more

1 テネシーワルツ / 江利チエミ 

元祖3人娘のひとり。
戦後の進駐軍まわりで鍛えた歌唱力が光る。
1952年、なんと14才のときのレコーディングだ。


2 さよならもありがとうも言えない / 坂詰美紗子 

昨年メジャーデビューしたシンガーソングライター。
デビュー前からBoA、EXILE、クリスタル・ケイなどに楽曲を
提供していたことからもわかるように、そのソングライティングの
能力は業界筋から高く評価されている。


3 FIX YOU / COLDPLAY

昨年はCOLDPLAYの年でした。
今後は彼らの影響を直に受けたバンドが世界各地から
出現するに違いない。


4 CRAZY / GNARLS BARKLEY

2006年のアンセム。
ステージでは「オズの魔法使い」や「時計仕掛けのオレンジ」など
映画マニアならではのコスプレが楽しい。


5  愛してる? / 吉田美奈子

70年代から活動する実力派。
P-FUNK軍団のバニー・ウォーレルや実験的サウンドで
知られるビル・ラズウェルも参加した1990年のアルバム『gazer』から。


6 ORINOCO FLOW / enya  

神話を題材にすることの多いシンガーといえばこの人。
この曲は1988年にリリースされた彼女にとって初の世界的ヒット。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2009年05月16日

女神記

大倉眞一郎セレクト

    jyoshinki.jpg

著者:桐野夏生 角川書店

未来へのヒントを神話から探る。
世界32カ国が参加する共同プロジェクト「新・世界の神話シリーズ」の
なかで書かれた作品。
著者にとっては9年ぶりの書き下ろし作となる。
ストーリーテーリングの鬼神が描く、血と贖いの日本神話!

BOOK BAR staff| 14:39 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月16日

海猫

杏セレクト

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著者:谷村志穂 新潮文庫

冬の峠を越え嫁いできた女は、
華やかな函館から昆布漁を営む村へと移り住むことに。
その美貌ゆえに周囲から孤立するなか、
気持ちは夫と義弟の間で揺れていく。

2004年に伊東美咲主演で映画化。

BOOK BAR staff| 14:19 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月13日

エコ万能の時代

「エコ」「エコ」って言えばなんでも通る世の中になって、
ついには「エコ家電」買っちゃうとどうやるんだかわからないが、
お上がお金をくれるという摩訶不思議なことになってしまっており、
国民はこぞって買い物をすると、大変お得になるそうである。

電気の使用量が減ればエコなんだったら、
テレビ見ないで、この番組といたしましては本読んで、
例外的に土曜の夜11時からだけ申し訳ないけどラジオをつけてくださいね。
これから暑くなりますが、みんなノーネクタイとか中途半端なこと言わないで、
エアコン根絶、窓を開け放ち、水着で仕事。
濡れタオルでときどき身体を拭くだけで、
気化熱でずいぶん涼しくなります。
私のように頭頂部が特に熱くなる人間は、
頭にやっぱり濡れタオルくくりつけておけば
眠くなることもないし、仕事の効率上がること間違いなし。
洗濯の場合は使用する水の量、洗剤の量も判定に影響するんだろうが、
手で洗えばいいじゃん。
俺なんか旅の最中は全部手洗いですぜ。
いつ水が出なくなるかわからないので、
最小限の水で、下手すると洗濯機より綺麗に洗える特技を持っている。
疲れて洗濯したくない時は宿の小僧に頼む。
ほとんど洗剤使ってなさそうで、
「ふっくらいい匂い」とはいかないが、
一応、汗は落としてくれる。

あらっ、洗濯機だとポイントくんないの?
なんで?

そもそもエコって何よ。
エコロジーは生態学。転じて環境。
エコロジカルは生態学的な。あるいは環境にやさしい。
この「環境にやさしい」ってなんだよ。
上から見てんじゃねえぞ。
よしよし、人間様がちゃんとしてあげるからね。
って、馬鹿じゃねえか。
奇跡のような偶然で生まれた地球という星で、
何のいたずらか、人間という奇妙なものが出来上がり、
現状に至っているわけである。
でも、じゃ、
「一番環境に悪いのはジャーン。なんと人間でした」
ということでみんなが大切な地球のために全員死ぬことにしましょう、
とはいかないのである。
映画「ウォッチメン」なんかは結構痛いとこ突いてるわけですよ。

申し訳ないですけど、私たち人間はこれからもこの地球で
生きていきたいのでどうかよろしくお願いいたします。
で、どうしましょう、でエコ家電か?
高速1000円乗り放題か。
いったい何の話だ。
辻褄合ってると思う人は手を挙げてください。

エコはエコノミーのエコでもある。
まず経済と訳されることが多いが、第一義は節約、倹約である。
マータイさんの「モッタイナイ」とぴったりは当てはまらないかもしれないが、
形容詞のエコノミカルは「浪費をせず、倹約を重んじる」である。

「エコ家電を買うと長期的にはお得なんですよ」
はエコロジーもエコノミーも関係ない話である。

本当にエコを言うのなら洗濯手洗いである。
俺が教えてやる。

「いやいや、今の家電を使っていては地球も人類も破滅しますよ」
ということであるなら、新しいエコ家電を作るのにどのくらい
エネルギーを消費して、
「リサイクルしますよ」と言っている古い家電がどんな手順でリサイクルされ、
そこで消費されるエネルギーはどれだけのものか、
ぜーんぶデータを明らかにしていただきたい。

この間まで「マータイさん、最高だぜ、イエー!」
で盛り上がっていた政府の皆さん、
環境保護団体の皆さん、
貧困国救済でボランティアを行われている皆さん、
「モッタイナイ」について是非もう一度お考えをお聞かせください。
お待ちしています。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 09:21 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年05月11日

母の日

母の日って何だよ。
何なのよ。
小学生の時から母の日を刷り込まれてきたけど、
なんか母の日ばかりで、
杏ちゃんも父の日はいつだかちゃんと分かってなかったですよ。

日本の母の日はアメリカから輸入されたものらしいが、
調べてみて驚いた。
すべての国というわけではないだろうが、
全世界的に制定されているというか、
お祝いされているというか、
「お母さん、いつもありがとう」
と言っているらしい。

やっぱり男も女も最後は
「おかあさ〜ん」
なのである。

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母の日にはカーネーションであるが、
父の日には正式にはバラをあげることになっているらしい。
もらったことないけど。

父の日は母の日があるんだから
やっぱり作っとこうということでできたらしい。
ということは母の日に感謝ということですね。
弟の日、妹の日、おじさんの日、おばさんの日、
おばあさんの日、おじいさんの日、いとこの日、はとこの日、
なんて次々に作ると、いつが何の日だかわからなくなって、
自然に母の日も父の日も忘れられちゃうかもしれないね。

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父の日をなおざりにしてきたから男たちの背中はいつも寂しそうだ。

                          大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 05:25 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年05月09日

5.9 OA BRUCE SPRINGSTEEN、THE CLASH、SALLY NYOLO and more

1 DADDY’S HOME / JERMAINE JACKSON 

ジャクソン家の三男坊ジャーメインがジャクソン5の人気絶頂期に
出した1972年のファーストソロ作より。
オリジナルは1961年のドゥーワップソング。


2 BORN IN THE U.S.A. / BRUCE SPRINGSTEEN 

ベトナム帰還兵の苦悩を歌ったナンバー。
決してアメリカ万歳的な愛国歌ではありません。
誤解のないように!


3 KNOW YOUR RIGHTS / THE CLASH

クラッシュは左翼的政治主張の強かったパンクバンド。
中心人物のジョー・ストラマーは労働者階級の多いパンクロッカーの
なかでは珍しく、外交官を父に持つアッパーミドル出身。
晩年は自由と自然を愛しフジロッカーたちに慕われていた。


4 デイドリーム・ビリーバー / LEYONA

ビートルズ人気に対抗して結成した米アイドルバンド、
モンキーズの代表曲。
ただし、ここでカバーしているのはタイマーズ版。
LEYONAの清志郎さんへのリスペクトが籠められている。

ベイベェ〜愛しあっているかい?


5  DIAMONDS (from Sierra Leone) / KANYE WEST

シエラレオネは西アフリカにあるダイヤモンドの原産国。
ここでカニエは高価なダイヤをめぐり多くの血を流している悲劇と、
そんな血で汚れた宝石を身に付けて自尊心を満たしている
自分をはじめとする人間の欺瞞と業についてラップしていく。
サンプリングされているのは007映画『ダイヤモンドは永遠に』主題歌の
あまりにも有名なフレーズ。


6 ZAIONE / SALLY NYOLO  

カメルーン出身のサリーは90年代にはZAPP MAMAの一員として
日本でも歌声を聞かせてくれた。
現在は母国とヨーロッパを舞台にアフリカの大地の香りのする
歌と音を届けている。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2009年05月09日

戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった

大倉眞一郎セレクト

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著者:イシメール・ベア

「いつも殺すか殺されるかだった……」。
紛争ダイヤの原産国シエラレオネで、12歳から15歳までを
少年兵士として激しい内戦を闘わされきた著者が、
ユニセフに救われて立ち直るまでの衝撃の体験と感動の物語。

BOOK BAR staff| 14:38 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月09日

とてつもない日本

杏セレクト

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著者:麻生太郎 新潮新書


タイトルは著者の祖父である吉田茂の言葉。
現総理が外務大臣時代に日本の底力を見直し、
未来を考えるために書き記した一冊。

BOOK BAR staff| 14:12 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月08日

象を飼う

杏ちゃんの紹介した「動物の値段」では象はいくらだったか?
ちゃんと見ていたのにもう忘れてしまった。
私の妹は小学生の時に象に鼻からピンポイントで
顔をめがけて水だか鼻水だかわからないものをすごい勢いでかけられて以来、
しばらくは象が嫌いだったと記憶している。
隣に私もいたのに何故妹だったのか、謎である。
よほど気に入らないことがあったのだろう。
妹に決定的な落ち度があったのではないかと
象の気持ちになって思い出すことがある。

私は象は嫌いではない。
インドやネパールで何度も乗っている。
傍で見ているよりも激しく揺れるし、
時には信じられないくらい臭い屁をこくが、象だしな。

タイやカンボジアでは町にも出現する。
森がなくなって行き場を失った象が、
同じく行き場を失った象使いと一緒に
「餌を買ってあげてよ」の商売をしているのである。
車が走っているところに突然象が現れるので最初はちょっと驚く。

タイ、チェンマイ郊外に象のお仕事ショウを見せてくれる場所がある。
バナナを房で買って、象にあげるのだが、
いきなり一房10本くらい持っていかれるのでムッとくることもある。
それで、象が大木をあっちやこっちに動かしたり、座ったり、
逆立ちまがいのこともしてくれるが正直言えばあまり面白くない。
象もつまらないのではなかろうか。

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一番面白いのは流れの早い川の中で水浴びのような、風呂に入っているような、
集団で象が勝手に遊んでいるところである。
大量の象がひしめいて、気持ちよさそうにしているのには、心が安らぐ。

帰国して1ヶ月ほども経ってからテレビで
私が行った象のお仕事ショウのニュースをやっていた。
いきなり象が暴れだして柵をなぎ倒し、
欧米からの観光客が踏みつけられたりして、
数人が亡くなったとのことであった。
亡くなった方にも象にも大変不幸な事件であった。

やっぱり象も腹立たしいことをさせられていると
感じていたような気がしてしょうがない。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 03:05 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2009年05月07日

ネパールでイスラム教徒の祭りへたどり着く その2

私を案内して自分の家まで連れて来てくれたのは、
アルンという背は低いががっちりした体格の30代のいい男である。

名前もわからない駅で降りるとアルンは歩いてもほんのすぐのところだと
私をグイグイ先導してくれる。
歩いてもといってもリキシャも何もないので駅で降りれば、
貧富の差別なく歩くしかない。
道は当然舗装などされておらず、一歩進むたびに微小の土煙が立つ。
こういう土は雨が降ると始末に悪い。
雨でなくてもカメラには嬉しくない。
どんなに注意していてもどこからか粒子が入り込んでくる。
それは仕方がないが、歩けども歩けども、「すぐそこ」の距離は変わらない。
どこまで行くんだろうと思っている時は、時間も距離も長く感じる。
面白いね。

30分ほど歩いてようやく彼の家に着いた。
周囲の家に比べると際立って造りが良い。
屋上には馬鹿でかいパラボロアンテナが設置されている。
ちょっと見てくれよと引き入れられた部屋には、
10台以上のなんだかさっぱりわからない機械が並べてある。
2ヶ月前まではこの村には電気が引かれていなかったが、
ようやくこれでテレビが見られるようになったそうで、
彼がアンテナで受信してケーブルで村中に配信しているのだそうだ。
個人ケーブル会社である。
免許とか持っているのかどうか知らないが、
村人が喜んでいるのなら良いことなのだろう。
受信料を取っているのかどうかは不明。
で、テレビはというと停電中で映らない。
しょうがないね、なのである。

カトマンズでさえ冬は8時間近く、夏は半日近く停電するのである。
この国の人は親切でやさしいのだが、
同時にバイタリティに欠けるところがある。
お金もないし、産業を興すにもそのきっかけとなるもの(たとえば鉱物資源とか)
がないので、観光以外これといった産業が発達しない。
その観光も国王家一家惨殺事件やマオイストとの戦いで、
観光客が一時は激減したため青息吐息状態である。
まあ、これからだということで、アラブ諸国へみんな出稼ぎに行ったが、
その砂上の楼閣は崩れ落ちる寸前である。
ヒマラヤはいつ見ても、背筋が寒くなるくらい美しいが、
産業を興すのに地の利に恵まれているとはなかなか言えない。
どうしたもんだろう。

横道にそれた。
「祭りに行くか?」
そのために来たんだろうが。
「この祭りは『ムハッラム』というイスラム教徒の祭りだ」
「え、ヒンズー教じゃないの?でどんな内容なの?スンニ派?シーア派?」
「そんなこと知るわけないじゃん。俺、ヒンズー教徒だもん。
とにかくこの周辺の村からもイスラム教徒がみんなやって来て大騒ぎになるんだよ」

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確かに家の数も見たところ限られている村にすごい数の人間が集結している。
さらに続々集まりつつある。
祭りはモスクを中心に行われているわけではない。
モスクなんか影も形もない。
ただの広場に10数メートルの高さの
金色のビラビラで飾られた塔が建てられている。
どうもそれが祭りの中心らしい。
この塔の意味がさっぱりわからない。
どことなく南インドのヒンズー教寺院に形が似ている気がしたが、多分偶然であろう。
その塔の下では男たちが太鼓を叩いて踊っている。
「これ、もしかしてアーシューラーじゃないの?」
しかし、私の知っているアーシューラーはシーア派の人々が
殺された第三代イマームであったフサインの死を追悼する殉教祭で、
身体に鞭を打ったり、傷つけ血を流しながら泣き叫ぶという
壮絶なものであったはずだが、どうも様子が違う。
「アーシューラー?これはムハッラム!」
どうもそうみたいね。
みんな泣いてないしね。
ヒンズー教徒も見物に来ているようだが、あまり関心はなさそうで
早々に引き上げていく。
私を連れてきたアルンも
「まっ、こんなとこかな」
で家に戻ろうとするので、
「いやいや、もう少し。
それから彼らはスンニ派かシーア派か聞いてくんないかな」
「スンニ派だってさ」
これ以上尋ねても真面目に調べてくれそうになかったので、
あきらめて、祭りには関心なさそうに服の仕立てで忙しそうにしている
アルンの友人ととりとめも無い話をしていたら群集が動いた。
濃い霧にも見える土煙の中に見え隠れするのは
棍棒を手にした若い女性たちである。
大声を上げながら走ってくる。
怯んだが、カメラを構えて前に出るとアルンに腕を引かれた。
「興奮しているから、下がっていたほうがいい」
確かに私を見つけると笑顔も見せながらではあるが、
立ち止まり、棒を振り上げている。
恐くはなかったが、何がなんだかわからないので誰か教えて欲しい。
でも、聞ける相手がいない。
そんな集団がいくつか通り過ぎる。
中には目がうつろになって、明らかに半トランス状態の少女もいる。

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接近しての撮影はやめて、望遠で激しく動き回る彼女たちを追った。

まさか、ネパールにこんなに多くのムスリムが集まって
住んでいるところがあるとは思わなかった。
どこで誰が何を信じていようと全く問題はないのだが、
意外であったというのが私の正直な感想である。

それにしてもおかしい。
あの祭りはいったい何だったのか。
帰国して調べてみたら、やはりアーシューラーじゃないの。
ただ、ヒジュラ暦のムハッラム月に行われているので
ムハッラムとも呼ぶらしいので間違いではない。
スンニ派だと誰が教えてくれたのかは忘れたが、
これは恐らく間違い。
スンニ派にもアーシューラーは特別な日であるが、
シーア派のアーシューラーはもっともっと特別である。
全く意味が違う。
あの、思いもよらなかったいきなりの騒ぎは
どう考えてもシーア派のもの思えるが、
もしかしたら、もろもろの宗教、宗派が混じって
ああいう形のものになったのかもしれない。

喧騒から離れたところで是非イスラム教徒の方に話を聞いてみたかったが、
残念ながら諸事情によりそれはかなわなかった。

前述したが、ジャナクプールは非常に興味深い場所である。
再訪することを考えている。

ちなみに私が離れてから1週間後に暴動が起きて、警官が一人死亡している。
ジャナキ寺院で私に話しかけてきた人なつこい若い彼でないように祈った。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 02:36 | カテゴリー:

2009年05月06日

ネパールでイスラム教徒の祭りへたどり着く その1

ネパールのカトマンズ盆地ではイスラム教モスクを見たことがない。
全くイスラム教徒がいないわけはないと思ってはいたが、
宗教はヒンズー教、それからネワール仏教、チベット仏教、
そして、それらが混交したもの以外認識できなかった。

今回は妙なことで「イスラム世界おもしろ見聞録」を書いた
宮田さんでも行ったことのないであろうネパール南部の
ジャナクプルという小さな町からさらに奥に入った
名も無き村というか、名前を聞くのを忘れていた村で
イスラム教徒の祭りへいざなわれた話である。
ただ、話の前後がないと何故そんなところにいったのかわからないので、
一見関係ない普通の旅話から入らざるを得ない。
一回目の今日はその村へたどり着くまでにさせてください。

2008年1月は1ヵ月間ネパールにいた。
ほとんどネパール盆地の中で馴染みのある場所を
ぶらいていただけであったが、
一度インドの影響の強い東ネパールのタライ平原へ行ってみたかった。
どこかいいとこないかと探していたら、
ネパールで唯一鉄道が走っている場所があった。
ジャナクプルである。ジャナクプル鉄道が走っている。
現在はジャナクプルダム駅からインド、ビハール州のジャイナガル駅間、
29キロだけしか通じていないが、乗ってみたいじゃない?
また、そんなにインドに近い場所がどのくらい
カトマンズあたりの文化と異なっているのかも見てみたかった。
さらにここはラーマーヤナの主要舞台となった場所のひとつで、
シータ王女を祀るジャニキ寺院もあり、
ヒンズー教の聖地となっているため、インドからの巡礼者も多い。
その上にだ、リキシャで20分くらい走るだけで、民家の壁をキャンバスにした
独特のミティラー・アートで著名なクワ村、ランプー村を訪ねることができる。
すごく面白いのだが、この話は別の機会に譲る。
小さな町なのに盛りだくさんである。
一度ジャナクプル特集をやります。

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時代の寵児となっているインドでさえ鉄道は相変わらずいい加減なので、
鉄道が一本きりのネパールでちゃんと動いているとは思えん。
偏見の塊ですな。
とりあえず運行状況を確かめようと駅に向かった。
時間はわかったが、あまりにもだらけたムードの駅で
だらだらと人が集まり、座り込んでやる気なし。
何をもってやる気があるなしを判断するか
書いている本人もわかっていないが、
普通、駅って「行くぞ」、「帰るぞ」の勢いがあると思う。
ないんですよ。
牛は散歩しているし、婆さんたちは線路に座り込んでいるし。

しかし、そのうち列車がやって来て、ざわめき始める。
自転車を窓にくくりつけている。
ひとつふたつではなく、たくさん。
ジャナクプルまで来て、買った自転車なのか、
それともそれぞれの駅からの足代わりにしているものなのかは不明。
列車へ我先に乗り込んで、席を確保するという雰囲気でもなく、
最初から屋根に座り込んでいる連中がやたら多い。
金は払わんという意思表示なんだろうな。
屋根はただと決まっているのか?

10数年前、同じネパールでチトワン国立公園から帰るのに
バラトプルから飛行機を使ったが、その飛行場、一面に草が生えている。
不思議なのは着陸に支障のない程度まで、いい感じで短くなっていた。
牛が草を食んでいるからである。
飛行機は一日2便か3便なので、離着陸以外の時間は放牧場なのである。
離着陸の際はサイレンが鳴って外に追い出される。
考えてそうなったのかどうか知らないが、共生である。
そんなところもあるのだから、田舎の鉄道の駅がどんなでもおかしくはない。

あんまり面白いんで、皆さんと一緒に座り込んでいたら
男が怪しげな英語で話しかけてくる。
これがインドの観光地なら要注意であるが、
インドはすぐそこと言っても、ネパール人である。
そのあたり、この地では揉め事の種になっているのだが、
これも別の機会に譲ろう。
ヒントはこのジャナクプルではネパール語は話されておらず、
インドのビハール州でも使用されているマイティリー語を使用している。

「俺の村で今日は大きな祭りがあるから一緒に見に行こう」
「行こう。行こう」
で、連れて行ってもらうことになった。
でもチケットも買ってないし、もう列車の中はぎっしり人で埋まってるぜ。
「問題ないから」
偉そうな顔をして、私を引っ張っていく。
列車の中でも我が物顔である。
人を押しのけ、私と自分の席を空けさせる。

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「俺はジャナクプルのラジオ局で歌を歌っているんで、有名人なんだ」
ラジオで歌って有名人?
意味が良くわからないが、コマーシャルソングも歌うし、
宗教歌も歌うという。
なんとなく同じ仕事っぽいね、てな感じで仲良くなった。
車掌がやって来て一言二言、話をするとあっさり金も取らずに行ってしまった。
無賃乗車である。
周りの人たちも有名人に笑顔で接している。
儲けた。
他の乗客もむやみに私にやさしい。
「今日は俺んちに泊まるといいよ」
と決まっていることのように握手してきたり、
食い物も分けてくれる。
列車はトロントロンやる気がなさそうに走る。
確か三つ目の駅で降りた。

その2へ続く。

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 03:57 | カテゴリー:

2009年05月05日

チェイサー

カタルシスなき、ただただ心が重くなる犯罪映画である。
しかも傑作である。
今年見た映画でベスト5に入る。

どうしてこんな映画が作れるのだろう。
監督のナ・ホンジンはこれが初めての長編映画だという。
チラシには日本の監督がずらりと名を並べていて絶賛の嵐である。
嘘だと思っていたら、本当だった。

この映画は事実に基づいたものではないが、
韓国で2003年から2004年にかけて起きた
連続殺人事件がヒントになっている。
一人の犯罪者によるこの事件の被害者は
20人以上とも30人以上ともいわれているらしい。
確かにいくつか類似点が見受けられるが、フィクションである。
フィクションなのにこの衝撃はどうだろう。

34歳のナ・ホンジンはインタビューによればハードな撮影だった、
と言ってはいるが、受け答えはクールである。
映画で伝えられること、伝えられないこと、どう見る側に判断させるか、
計算して作っていることが良くわかる。
出来の良さは俳優の実力だとも答えている。
確かにその要素は否定できないが、
明らかにナ・ホンジンがすべてをリードしている。
脚本も本人が手がけているのである。
撮影も素晴らしい。
粒子を荒くして、
逆に登場人物の息遣いが鮮明に聞こえ、見えてくる。

韓国ではR18指定で大ヒットとなっている。
日本ではR15。
どのくらい人が入るかで日本の観客の質が試されているようにも感じる。
公開初日の最初の回で見に行って良かった。
余計な雑音なしに見ることが出来た。
この手の映画は嫌いな人がいることは充分承知しているが、
嫌いでも、ものすごい映画であることはわかると思う。
映画館で見ないと後で後悔することになるので、
無理してでも見に行った方がいいと私は勧める。

レオナルド・ディカプリオ製作でリメイクされることが決まっている。
危険な玉を拾ったものである。

OFFICIAL SITE

                         大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 09:17 | カテゴリー:映画部

2009年05月05日

間違い探し?

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先日行われた、BOOKBAR初の試み「伊坂vs.東野」

スタジオにはリスナーの皆様へのプレゼント用に、

大倉さんのオススメ「オーデュポンの祈り」

私のオススメ「変身」が、それぞれ五冊ずつ集まりました。


五冊揃った「変身」を並べて、帯をよっく見ると、

「・・・ん?」

間違い探しのようですが、じっくり見ると何だか数字が違う。

4冊は[91万部]とあるのに、1冊だけ[95万部]になっている。

奥付をみると、

91万部の方は「08年12月1日 64刷」とあり、

95万部の方は「09年2月2日 65刷」とあります。

3ヶ月年で4万部、計65回の増刷。

図書館に置いてあったり、家族間や知人間での回し読みなども含めると、

一体どのくらいの人が、この本を読んだのかと想像すると途方も無い気分になります。


この本達はこれから何処を旅するのでしょうか。

「変身」、読み出したら止まりません。是非是非読んでみてください!


                  杏

BOOK BAR staff| 06:26 | カテゴリー:from 杏

2009年05月02日

5.2 OA MARLENA SHAW 清竜人 3 MUSTAPHAS 3 and more

1 FEEL LIKE MAKIN’ LOVE  / MARLENA SHAW 

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UAをはじめ日本の歌姫たちも愛聴している
1976年の名盤『WHO IS THIS BITCH ANYWAY?』から。
なんと今年の夏にマリーナ・ショウが来日!
ビルボードライブ東京でライヴを行うそうです。
耳グルメな方々が万難を排して六本木に集結することになりそう。
ちなみにこの曲のオリジナルはグラミーシンガーのロバータ・フラック。


2 ZOO /  ECHOES 

エコーズは現在、作家として活躍中の辻仁成を中心としたバンド。
「ZOO」はその代表曲。
2000年に辻が脚本を担当したテレビドラマ「愛をください」の中で
主演女優の菅野美穂がカバーしていました。


3 FOX ON THE RUN / SWEET

70年代に活躍したUKのバンド。
狐狩りは英国王室の伝統ですが、
この曲で歌われているのは女狐と呼ばれている女性のこと。
英語ではFOXYなんて形容詞も使われますね。


4 風もバラも雪もぼくも / 清竜人

今年デビューした天才肌の新人。
デビューアルバム『PHILOSOPHY』は、
19歳とういう年齢を考えると、恐るべき完成度の高さ!
これからが楽しみな才能です。


5  Wh Wu Nos / NANCY

大倉さんセレクトによるアラブのポップス。
歌っているのはレバノンの首都ベイルート出身の
アイドル歌手ナンシー・アジュラム。
この曲は2004年、彼女が21歳のときの歌声で、
曲名は「はい、もちろん」という意味らしいです。


6 LINDA LINDA / 3 MUSTAPHAS 3  

J-WAVEが開局した頃、そう80年代末期のこと。
突然ワールドミュージックブームが巻き起こりました。
当時、六本木にはWAVEという大型CDショップがあって、
ありとあらゆる国のマニアックな音をお客が買い求めていたし、
パリコレなどでも有名メゾンのショーで得体の知れない言語の曲が
頻繁に使われていました。
そんな中で一際異彩を放っていたのがこのグループ。
イスラム、東欧、アフリカと文化背景の異なる言語とリズム、
楽器を駆使して摩訶不思議な世界を構築していた。
バルカン半島にある村出身、リーダーのヒジャムは10ヶ国語を操る。
な〜んて情報を飛び交っていましたが、実際はイギリス在住の
プロミュージシャン集団とのこと。洒落が効いてますね。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2009年05月02日

イスラム世界おもしろ見聞録

大倉眞一郎セレクト

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著者:宮田律  朝日新聞出版

静岡県立大学で教鞭をとるイスラムの専門家が、
実際に歩いて訪ねた知られざる国々の意外な日常風景。
エジプト、トルコ、アフガニスタン、イラン、イスラエル、パレスチナ、
ウズベキスタン、アルメニア、中央アジアなど約17カ国の情報を紹介。
テロの危険地帯で知ったほんとうの庶民の暮らし、
なかなか行けない史跡、遺跡見学など貴重な体験をつづるひと味違う旅行エッセイ。
行きにくい国の渡航情報も付記。

BOOK BAR staff| 14:43 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月02日

動物の値段

杏セレクト

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著者:白輪剛史  ロコモーションパブリッシング

ペットはもちろんのこと、動物園や水族館にいるどんな動物にも値段がある。
動物の値段は生息数、入手難易度、輸送難易度、大きさ、飼育難易度によって決まる。
希少性が値段に跳ね返り、違法取引きが横行する原因との指摘もあるが、
動物に値段を付けることをタブー視せずオープンにすることで動物たちが直面する問題点、
取引きの問題点、動物の苦労、裏方の仕事などが見えてくる。

BOOK BAR staff| 14:28 | カテゴリー:BOOK INFO

2009年05月01日

案山子

案山子を知らない人はいないだろうが、
この十年見たことありますか。
「オーデュボンの祈り」の案山子はかなり立派なものの様であった。
なんせ喋るしね。
ところが、私は十年どころか「オズも魔法使い」の案山子以外は
数十年見ていないような気がする。
下関に帰ればいくら昔に比べれば都会になったといっても、
20分も車を走らせれば田圃が広がっているが、
案山子見ないよ。
どこに行ってしまったのだろう。
子供の頃、家のまわりは全部田圃で、案山子が立っていたように思う。
思うというのは100%の自信がないからである。
頭に電極を刺して刺激すれば思い出せるかもしれないが、
そこまでして思い出してもこの原稿を書く以外のことで
大変役に立つということはなさそうなので、やめておこう。
いずれにしろ、うっすらと記憶の霧の中に見え隠れする案山子は
「オズの魔法使い」に出てくる「脳みそがない」という案山子のような
よく出来たものではなかったはずである。
竹の棒を十字に組み合わせて、田圃に立て、
せいぜい麦藁帽子を被せたくらいじゃなかったかしら。
田舎の人はそんなことに頓着しないのである。
と言い切っていいのかどうか。
今でもどこかで案山子コンテストみたいなものをやっていたら具合が悪い。
しかし、そんな報道を目にしたことがないので、
「ない」ということで話を進めさせていただく。

と書いたが、不安になって思い直し、
一応調べてみたらあるじゃないですか、
全国各地で自作の案山子コンテストが毎年催されているらしい。
減反、食料自給率の問題が複雑になってきているので
報道しないというわけでもなかろう。
「何とかの真ん中で妻への愛を叫ぶ」コンテストを映して、
「なんだかホノボノしますね」とか言っている場合ではないだろう。
ことは食いもんだぜ。
農家の皆さんのご苦労をねぎらうほうが、プライオリティ高いでしょう。
案山子は鳥を追い払うための単純な道具以上の
歴史を持っているようである。
案山子コンテスト、取材して下さいね。

さて、日本の話は行き詰りそうなので、
あってもよさそうなところに無かった話をひとつ。

アメリカにもあったことは確実。
scarecrowとはなんともストレートで味気のない名前ではあるが、
「オズの魔法使い」であれだけ活躍するのであるから、
間違いなく存在した。
ただ、またしてもアメリカにいたときに見たことがあるかどうか
さっぱり思い出せない。
恐らくすごく興味のあるものでもなかったので、
ちゃんと見ていなかったのであろう。

0501okura.jpg

そこで思い出すのが、中部イタリアの
アッシジという小さな町のことである。
この町は果てしなく広がる麦畑の中にポコリとできた丘にある。
麦畑もアッシジなのだろうが、町は丘だけ。
丘のてっぺんにサン・フランチェスコ聖堂がどっしり構えていて、
町はその丘にゴチャゴチャとへばりついている。
聖堂があっての町ですな。

0501okura-kaidan.jpg

このゴチャゴチャ感がたまらない。
狭い路地、階段が理屈抜きに好きなのである。
そして聖堂のあるてっぺんから見下ろせば、
はるかかなたまで広がる黄金の麦畑。
ある年の夏ここを訪れて、すっかり気に入ってしまい、
のんびりしちゃった。

町中をさんざんうろついた後、
どうしても駅に行かなければならない用事があって、
夏のまばゆい光がさんさんと降り注ぐ麦畑を突っ切る
一本道を散歩した。
散歩をしている途中で気を失いそうになった。
真夏のイタリアは想像を絶するくらい暑い。
インドくらい暑い。
37、8度なのだが、照り返しで全身上からも下からも
こんがり照り焼きにされる。
せいぜい10分ほどだと思っていたのに1時間くらいかかった。
一枚の小さなハンカチでは絞っても私の頭のつむじあたりから
滝のように落ちてくる汗に対応することは無理である。
と言いますか、無駄である。
そんな朦朧とする状態でも、
何とかカメラを構えて数回シャッターを切った。
ろくな写真は取れなかったが、
その時に気が付いたのが案山子がいないことである。
イタリアと言えばすっごくモダンな案山子か、
いかにもどん臭い、なんだかわからない人形のようなものを想像するでしょ。
いないのである。

あー、イタリアの案山子見てみたかったなあという、落ちの無い話でした。

駅で用事を済ませた後は、諦めがいいのでタクシーでホテルに戻った。

余談である。
あまり知られていないが、
このアッシジにはフランチェスカーノというリキュールがある。
ベネディクティンのような薬用酒であるが、
私は普通に食後酒としていただく。
ロンドンでも日本でもイタリア料理を食った後は
頼んでみるのだが、置いてあったためしがない。
大変おいしくて飲みすぎて二日酔いになることが多い。
薬用酒なのに飲みすぎると普段より悪性の二日酔いを患う。
いくらおいしくてもせいぜい2杯くらいにしておきましょう。
でも、日本のどこで飲めるのかがわからない。

                               大倉眞一郎

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