2008年08月30日

8.30 OA ウルフルズ CSN & Y ムーンライダース and more

1 O ASTONAUTA DE MARNORE / SEU JORGE 

奇才ウェス・アンダーソン監督の『ライフ・アクアティック』のために
レコーディングされたポルトガル語によるデヴィッド・ボウイのカバー。
歌っているセウ・ジョルジュは映画本編にも出演している。
ヘンな映画で流れていたヘンなカバー曲。
でも、観終わった後に頭の中をグルグルとこの曲が鳴り響いていた。


2 笑えれば / ウルフルズ 

元気のないサラリーマン諸氏にエールの意味をこめ、
なにか一曲贈るとしたら、きっと多くのひとがウルフルズの曲を
思い浮かべるのではないだろうか?
どんな人生でも、どんな苦労をしても、
最後に笑えればいいですね。


3 TO BE LOVED / JOAN AS POLICE WOMAN 

ルーファス・ウェインライト、デヴィッド・シルヴィアン、ルー・リード、
ハル・ウィルナー、ニック・ケイヴ、そして恋人であった故ジェフ・バックリーと
名だたるミュージシャンと共演してきたNY出身の才女。
ちょっと変わったアーティスト名は友達からのひとことだったそう。
今年リリースされたセカンドアルバムからのナンバー。


4 HIGH AND DRY / PETE KUZMA feat. BILAL

UKのカリスマロックバンド、レディオヘッドの代表曲を実にジャジーで、
且つグルーヴィーなアレンジでカバー。
原曲の張りつめた緊張感はどこへやら、
こんな解釈もあるのねと諭してくれたお見事なお手前です。


5  TEACH YOUR CHILDREN / CSN & Y 

ウッドストックにも出演した伝説的バンド。
デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュ、
そしてニール・ヤングの4人はそれぞれソロとしても活躍する
ロック界の巨人たちである。


6 トラベシア / ムーンライダース 

永遠の名曲。
オリジナルは“ブラジルの声”、ミルトン・ナシメント衝撃のデビュー作。
ポルトガル語だけでなく、英語詞でも多くのアーティストが歌っている。
英語のタイトルは「BRIDGES」。
人の心と人の心をつなぐ「橋」を架けることができれば、
われわれはいつか差別も格差もない夢の地へも辿りつくことができるのだ。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2008年08月30日

いのちの初夜

大倉眞一郎セレクト

著者:北條民雄 角川文庫

ハンセン病となり隔離生活を余儀なくされた著者は、
文豪・川端康成に師事し、この作品で第二回文學界賞を受賞。
24歳で生涯を終えた著者が絶望により
むしろ強められた健康な精神を文学の上に遺した感動作。

BOOK BAR staff| 14:40 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月30日

君たちに明日はない

杏セレクト

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著者:垣根涼介 新潮社

最初は恋愛小説と銘打って帯をつけたが中々売れず、
ビジネス小説と改めて帯を付け直したら大ヒット!

リストラを専門に請け合う会社に勤めるアイドル顔の主人公が、
メーカーや銀行などに赴き、リストラされる側の人間から
怒られ、泣かれながら成長していく。

山本周五郎賞受賞作。

BOOK BAR staff| 14:15 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月27日

ブラリンピック

私は中学生のころからバンドをやっていたが、
念願であった中学生デビューは果たせず、
恐ろしいことに今も全くレコード会社から声がかからない。
欲のない人たちばかりである。

世界で通用するよう、ぼろ儲けできるよう、
英語でオリジナル曲を100曲以上書き溜めていたので、
いつでもこちらは準備できている。
音楽事務所の方々、レコード会社の方々、早い者勝ちですよ。

中学校を卒業してもバンドのメンバーは変わらず、
ほとんど週末は一緒に過ごしていた。
日曜は基本的には練習だったのだが、
のりが悪い時、祭日などは別の遊びを覚えて夢中になった。
俺も意外にワルだった。

それがブラリンピックである。
土曜、オールナイトニッポンを最後まで聞いて、
一睡もせぬまま薄暗い町に自転車でこぎ出る。
寝ていないからハイである。
下関の日曜早朝なんて車なんか全く走ってないので、
町中を暴走しまくる。ワルだぜ。
あの風を切って走る気分は経験したことのない人間にはわからない。
自転車なんだけど。

明るくなってきたところで全員の母校、
生野小学校へ(8月13日の記事『帰省』参照)。
当然誰もいない。
だから行っているのである。
ブラリンピックのために。
我々はブランコが大好き。
昼間は小学生が邪魔をするので独占できない。
この時間はこぎ放題である。

最初はどうしてもリードギターの人間だけブランコがこげなかったので、
そいつへの特訓であった。
ブランコがこげない人間がいるのか、
と不審に思う人もいるだろうが、
世の中は広いもので、ちゃんといるのである。
前に出る時は足を伸ばし、前に出きったところで、足を折る。
一ヶ月くらいかかったであろうか。
練習の成果が出て、彼も立派なブラリンピックアスリートになった。

全員がほぼ同じスタートラインについたところで、
ただ、ブランコに乗っているだけではつまらなくなった。
ブランコを競技にすることにした。
こいでいるだけではどうしてもどのくらい高くまでこげるか、
くらいの競争にしかならないので、やはり飛ぶことにした。
誰が一番遠くまで飛べるか。
普通である。
普通が一番基本でそれなりに盛り上がったのだが、
体操のように種目を増やし始めた。
その時点でブラリンピックと命名した。

立ちこぎ遠距離飛び
座りこぎ回転ひねり飛び
立ちこぎ回転ひねり飛び
座りこぎ高飛び
立ちこぎ高飛び
足こぎなし遠距離飛び

他にもどうでもいい種目を作った気がするが、
覚えてないので自然消滅したのであろう。
月面宙返りとか入れてなくてよかった。
きっと誰か骨を折るか、死ぬかしていたはずである。
ともあれ、それぞれの種目に点数をつけて、総合点を競うのだ。
イヤー、もうアニマル浜口どころではない盛り上がりである。
朝5時半くらいから2時間くらいかけてのハードな競技である。
それに寝てないもんだからテンションは上がるばかり。

ある朝、おっさんが寝巻きのまま頭を掻きながら、競技場に近づいてきた。
仲間に入りたいのかとコンマ一秒勘違いしかかったが、
やはり違った。
「まだ、朝6時半やど。うるさい。お前らだけの世の中やないんやけーのー」
まっとうである。
おっさんがいなくなってから、
「なに言いよるんか」
「ええ加減に起きれっちゅーんじゃ」
と小さな声で罵倒してみたが、
もうしょぼくれてやる気がうせた。

それが最後のブラリンピックとなり、復活することはなかった。

オリンピックを見ていて、こんな競技もあるんだと驚くことがある。
きっと我々のブラリンピックのように、
これも面白いかも、と
バリエイションをつけて増やしていったのじゃなかろうか。
なんとなく判る気がして、嬉しくなった。
という話と、俺がワルだった話でした。


                        大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 10:44 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2008年08月27日

北京以外

オリンピックも終わってしまった。

あまり興味ないといっていたのに、結構見入ってしまった。
なんだか少し恥ずかしい。

それにしてもやはりメダルを取れる可能性のある
日本選手が出場する競技以外は放送しないね。

視聴率というのは今の状況では、
ますます神様のようなものになっているのだろうが、
これが本当のオリンピックの楽しみ方なのだろうか。

また、ある程度まで日本選手頑張れという気持ちは理解できるが、
「日本の期待を一身に担った」○○選手のほうはどうなんだろう。

「ずっとオリンピック目指して頑張ってきました」
というのはよくわかるのだが、
国のために頑張ってきたのではないんじゃなかろうか。

そのあたりアスリートとは程遠い私には理解できない領域なのかもしれないが、
万が一自分に「君に日本人全員が期待している」といわれたら困るなあ。

あくまで「私があって国がある」派の私だから、
「愛国心はないのか」「じゃ、日本出て行け」といわれても平気である。

私なりの日本の愛し方があるし、
私なりにインドやネパールやイギリスを愛している。

マスコミは中国の露骨な自国民に対する応援に顔をしかめたりするが、
日本のテレビスタジオでやっていることも大して違わないのではないか。

さて、中国では北京以外はあまり盛り上がっていない、
という報道がオリンピック前に流れたことがあったが、
多分始まってしまえば、それなりに盛り上がったことであろう。

私は、仕事で上海によく出張していたのだが、
上海の人間の北京に対する対抗意識は強烈なものがある。

ついこの間までは中央政府は上海閥が牛耳っていたのだが、
今では上海人脈の力はそがれた気配である。

北京オリンピックの後は上海万博である。
彼らにはこちらのほうが重大事かもしれない。

上海は楽しい。

私はオシャレでないが、
日本にもないようなオシャレなバーに連れて行かれたりすると
素直に感動したりしていた。

たまに健全なカラオケバー
(健全でないところもあるということかも)に行っていたが、
美しい女性がお相手をしてくれる。
お相手といっても特にすることはない。
水割りを作ってくれて、しきりにカラオケを歌えと強要するくらいである。

「日本語、少し、大丈夫」といっていたのにさっぱりだめだから、
コミュニケーションを他にとりようがないのである。

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私は少し中国語ができたので、
たいした話はしないがそれなりに楽しく過ごせた。

面白かったのは肩を出したユニフォームなのだが、
時々部屋の天井に貼り付けてある赤いランプが、
点滅し、サイレンが鳴る。

「公安だ」というので、逃げなきゃと粟を食うのだが、
のんびり肩が隠れる小さな上着を着けると、もう落ち着いたものである。

肩の露出は禁止らしい。いろいろある。

上海出身の女性も美人だと思うのだが、
安徽省の女性は中国一だといわれたことがある。

安徽省行ってみるか。

大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 01:15 | カテゴリー:

2008年08月25日

豊洲、枝川、門前仲町

私は就職してまもなく江東区枝川の安マンションに引っ越した。
電車通勤が耐えられず、できるだけ会社に近くて、
安いところを探していたら、枝川になった。
聞きなれない方もいると思うが、木場駅から徒歩15分くらいのところである。
周りは倉庫以外なくて、どえらく不便であったが、
会社にはバス一本で行けて、
しかも住民が少ないので座れるのが何よりもありがたかった。
後はおまけみたいなものだが、
大正時代になって埋め立てが始められた場所で、
運河が縦横に走っており、玄関を開けると広い運河が横たわっていた。
それが不思議と趣があり、夕方には何もない町を散歩したりした。

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その後引っ越したが、
今も同じ場所から豊洲方面を眺めてみたりすることがある。
豊洲は昭和12年に埋め立てが終わり、
「将来の発展を願って豊かな洲となるように」と命名されたそうだが、
しばらく前に有楽町線が開通し、
現在、ご存知のようにすさまじいマンションラッシュで、
高層ビルが立ち並び、「ららぽーと」なんていうものまでできたので、
写真の面影もない。
何もないところにできたので、特に感傷的になることはないのだが、
もう昔の様子が思い出せない。
そういえばセブンイレブンの日本第一号店が豊洲にある。
1974年にできている。
よくあのころ、あんなところに作ったものである。
先見の明があったというか、ただ土地代が安かったからか、
私の個人的な七不思議のひとつである。
普通のセブンイレブンで、第一号店という傲慢さが感じられないのが良い。


さて、前回紹介した「大江戸神仙伝」には辰巳芸者が登場するわけで、
つまり文政年間には海の中だった枝川から15分歩いたところでは、
江戸時代はすでに芸者遊びができるし、
富岡八幡、成田不動なんかもちゃんとあって、ずいぶん賑やかだったようである。


門前仲町の大通りはもうつまらなくなってしまったが、
並行して走っている路地には小さな小料理屋が並んでいて、
粋な町であったことがうかがわれる。

たまに門前仲町に食事に出かける時には、
必ず富岡八幡と成田山にはお参りする。


ららぽーとは正直言うとどうでもいいのだが、
このあたりから大きく外れて住む気にならないのは、
江戸風情が残る場所から離れたくない、
ということのようである。

大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 03:32 | カテゴリー:from 大倉眞一郎

2008年08月23日

8.23 OA Perfume 畠山美由紀 喜納昌吉 and more

1 BABY CRUISING LOVE / Perfume

広島県出身の3人組女性による近未来型テクノポップユニット。
遡ると結成はアクターズスクール時代の2000年というから、
けっこう下積み時代もあった模様。
ブレイクの大きなきっかけは中田ヤスタカがサウンドプロデュースを
手掛けるようになったことでしょう。
単なるアイドル人気で括れないスケール感は、
今年のサマソニで入場規制が実施された事実が物語っている。


2 眠ってしまいたい / 畠山美由紀 

ソロだけでなく2人組男女ユニットport of notes、
10人編成のダンスホール楽団DOUBLE FAMOUSのボーカリストとしても
活動中。
透明感あふれる歌声はジャンルを超え支持されている。
今年の12月にはデビュー15周年コンサートが
BUNKAMURAオーチャードホールで開催される。


3 ECOUTE MOI CAMARADE / RACHID TAHA 

われわれの耳にもっとも遠くてミステリアスに響くのは、
北アフリカや中東の音楽ではないだろうか?
この曲はアルジェリア出身の人気ロックシンガー、
ラシッド・タハがアラブ諸国で流行った大衆音楽をカバーした作品集に収録。
タハは「ジョン・レノンにとっての『Rock’n Roll』のようなアルバム」と定義。
なるほど。納得。そういうことか!
彼にとってのチャック・ベリーやリトル・リチャードというわけだ。
詞の内容はというと……
懲りもせずに性悪女に貢ぎ続けるダメ男について歌っている。
アラブ圏だろうが、イスラム教だろうが、
ダメな男はどこの国にもいるものである。
決して遠い存在ではない。


4 SUMMER KISSES, WINTER TEARS / JULEE CRUISE

鬼才デヴィッド・リンチが寵愛した歌姫。
代表作はもちろん『ツインピークス』の主題歌だ。
この曲はちょっと浮気して、リンチではなくヴィム・ヴェンダース監督の
1991年の問題作『夢の涯てまでも』のサウンドトラックのために歌われた。
エルヴィス・プレスリーのオリジナルも実に雰囲気のある曲だったが、
こちらのバージョンはなにやら妖気が漂っている。


5  うわき節 / 喜納昌吉 & ザ・チャンプルーズ 

「ハイサイおじさん」、「花〜すべての人の心に花を〜」などのヒットを持つ
ウチナーポップのパイオニア。
ウチナーポップとは沖縄民謡の独特のメロディーと
沖縄の方言=ウチナーグチが特徴のロックやポップス。
2004年参議院選挙で当選。
NGOによる平和運動に参加するなど、
歌を通した政治的な活動も活発なアーティスト。


6 はらいそ / アン・サリー + Pan Cake 

J-WAVEのジングルでもお馴染みの歌声。
アン・サリーは「歌手」、「医師」、「母」、3つの顔を持ち、
英語の歌を中心にマイペースで活動中。
この曲は今年発表された細野晴臣トリビュート・アルバムに収録。
先の畠山美由紀とは同い年という共通項もあり交遊がある模様。


BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2008年08月23日

愚行録

杏セレクト

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著者:貫井徳郎 東京創元社

都内で起きた一家惨殺事件。
被害者家族を襲ったものとは?
被害者の関係者へのインタビュー形式で物語は進んでいく。
「最悪の読後感」を狙ったという著者の意図は?

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月23日

大江戸神仙伝

大倉眞一郎セレクト

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著者:石川英輔 講談社

現代の東京から花のお江戸へとタイムスリップした主人公は、
持参した文明の利器や医学の知識を使って、
女性にモテモテの二重生活を送ることになる。

BOOK BAR staff| 14:45 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月20日

Across the Universe

映画部部長の推薦しいていた「ダークナイト」は、
期待を裏切ることなく素晴らしいできであった。
バットマン相変わらず馬鹿にできんなあ。
ジョーカー役のヒース・レジャーはオスカー像を手にすることはなくなったけど、
きっとアカデミー賞を受賞すると思う。

さて、金曜に見てから頭の中から映像、音楽が、
一向に消えてくれる気配がないのが「アクロス・ザ・ユニバース」。
見た後、焼きトン食ってすぐにカラオケ屋に行き、
ずっとビートルズの曲だけ歌っていた。

今もこの映画のサントラを聞きながら原稿を書いている。
ただ、このCD、厳密には映画からそのままの曲ではない。
映画ではキャストは吹き替えなし、
ライブ録音でセリフ同様に歌を歌っているので、
すべての曲を再度スタジオでキャストに歌わせて取り直しているようである。
実はその分、ライブ感がとんでしまって惜しい仕上がりになっている。

ビートルズに関心のない人、
予告を見ていない人には何の話かさっぱりわからないと思うので、
少し解説を。


大ヒットミュージカル「ライオンキング」の監督、ジュリー・テイモアが、
33曲、ビートルズの曲だけを使って作ったミュージカル映画です。
ベトナム戦争を背景に当時の若者の文化を丁寧に描いている。
その映像とビートルズの曲の合わせ方、
また、キャストの歌唱力の素晴らしさに圧倒される。

なじみがあるというよりは、私の血、肉となっているビートルズの曲が、
また全く新しく聞こえてくる。見えてくる。
中学、高校のころ、ビートルズのコピーも盛んにやっていたのだが、
大学の時に「A Hard Day’s Night」を見直して、
中野の小さな箱で大泣きをしたことがあったが、
その時よりも胸をかき回されている。

この気持ちをどう整理すればいいのかわからないので、
もう一度見に行くことにする。

ビートルズマニアには異論のある方もいると思うが、
これを越えるビートルズ映画は作れないと確信した。

気になっていたのは、
ポール、ヨーコはどう思っているのかということだったのだが、
二人ともサポーティブで製作中も監督と連絡を取っていたということである。


ジュリー・テイモアはやはり天才である。
次の作品はシェークスピアの「テンペスト」だそうで、どうなるのかしら。
ちなみに(が私は多いが)、SF映画の名作「禁断の惑星」も
「テンペスト」を下敷きにしていました。

大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 04:55 | カテゴリー:映画部

2008年08月18日

石岡瑛子

北京五輪、
観ていますか? 
盛り上がっていますか?
感動していますか?

やはりトップアスリートの凌ぎ合いは素晴らしい。

そんな五輪の熱狂もあと数日で過ぎ去ってしまう。
最後を締めくくるのはもちろん……閉会式。
壮大なスケールの演出で度肝を抜かせた開会式と同じく
チャン・イーモウ監督が総合演出をするそうだ。

開会式は、その後、いろいろと偽装が発覚し問題となっている。
足跡形の花火のCGは演出の範囲かもしれないが、
少数民族の子供たちの大部分が漢族だったのは、
モラルとしてちょっといただけない。

まあ実に共産党支配の中国らしいといえば、そうなのだが。
ここから多くのことを学んで欲しいものである。

そんな開会式の準備の様子を垣間見られるインタビューが、
広告批評6-7月号に掲載されていた。
インタビューされているのは、
開会式のコスチュームデザインを担当している石岡瑛子さん。
若い人や美術にあまり関心のない方には
「石岡…誰?」なのかもしれないが、
ぜひこの機会に彼女の仕事について知って欲しい。

70年代、彼女は広告界のミューズだった。
資生堂とPARCO、常に時代の先を歩いていた。

80年代、NYに渡った彼女はデザイン界注目のスターとなる。
マイルス・デイヴィスのCDアートワークではグラミー受賞。
三島由紀夫の生涯を映像化した映画『MISHIMA』では、
初めて美術監督を務め、オリジナリティあふれるその表現は
国境を超え称賛された。

90年代以降の彼女はヴィジュアル・ランゲージを駆使する
巨人としてあらゆるクリエイティヴな表現形態の場に君臨している。
その活動範囲はハリウッド、ブロードウェイへと拡がり、
コッポラの『ドラキュラ』ではアカデミー賞受賞。
シルク・ド・ソレイユやレニ・リーフェンシュタールとも
仕事を共にしている。

今回の北京五輪、チャン・イーモウは、
「東洋のDNAを持っていながら、世界で表現活動をしている人」
ということで石岡さんに仕事を依頼したそうだ。
一流は一流を知るということなのだろう。

石岡さんとそのチームがデザインし制作した計2万着もの衣装は、
イーモウ監督の期待に見事に応えていた。
イーモウとの表現者同士の丁々発止はもちろん、
中国共産党の要人やIOCのチェックを経て、
なかには15回もやり直しをした衣装もあったそうだ。

ちなみに一流は一流を知るということでは、
イギリス人デザイナーのマーク・フィッシャーも開会式の演出に
参加していたようだ。
彼はステージデザインの世界的第一人者。(彼のこれまでの仕事は→参照
ピンク・フロイド、ストーンズ、U2をはじめ、
日本の松任谷由実、Mr.Childrenのツアーセットのデザインをしてきた。
近年の仕事だとトリノ冬季五輪やローマの遺跡に50万人もの大観客を
集めたジェネシスの再結成コンサートのセットを担当している。

開会式後半の発光ダイオードを纏った衣装や、
巨大な地球儀の上を無重力状態で歩く演出は、
数年前に行ったピーター・ガブリエルのツアーが
ヒントになっていると思う。(ぼくの推測ですが)
おそらくマーク・フィッシャーの助言があったのではないだろうか?

自分がこれまでに目撃してきた美の驚愕が
次々と連鎖していくさまを確認するのは実にスリリングだ。
そしてその中に日本の石岡瑛子がいることが誇らしい。

もっとも世界を舞台に様々な人種や国と仕事をしてきた
石岡さんは「日本人」というよりは、
「地球人」として北京五輪の仕事を請け負ったそうだ。
一歩でもいい。
ぼくも「地球人」に近づかなければ。


石岡さんの著書
私デザイン

石岡さんの作品集
「EIKO BY EIKO」
「EIKO ON STAGE」
石岡瑛子

石岡さんが衣装を担当した新作映画
落下の王国」(原題:The Fall)


(番組スタッフ JD)

BOOK BAR staff| 04:13 | カテゴリー:

2008年08月17日

文化大革命

前回紹介した「大地の子」では、
2000万人もの餓死者を出したといわれる「大躍進政策」、
いまだに総括が終わっているとは言いがたい「文化大革命」に
主人公は翻弄される。


私は文化大革命のころは中学生から高校生の時期にあたり、
何も知らないまま、毛沢東に憧れ人民帽をかぶり、
毛沢東語録をアルバイト先で毎日職場の大人に混じって、
唱和していた。

下関は超保守的な土地柄でありながら、
高杉晋作に代表されるような極端な人間が出がちなところで、
当時日本で唯一の中国共産党寄りの党派、
日本共産党左派の拠点であった。
おかしな町である。

大学に入ってからも文革の余波は残っており、
毛沢東崇拝は私から抜け切れておらず、
「東方紅」のような毛沢東賛歌や、
その他にも文革をたたえる歌を酒を呑むと歌っていた。

第二外国語の中国語はかなり上達して、教師からは
「君は中国にいたのかね」などとトンチンカンなことを聞かれたりもした。
実際に中国で何が起こっていたのかも知らず、
いい気なものである。

文革は社会主義への継続革命、
走資派と呼ばれる人間の打倒運動ということになっていたが、
結局は毛沢東が大躍進政策によって失いつつあった権力を維持するための、
メチャクチャな権力闘争であったことはほぼ歴史的事実と認められつつある。

この文革で亡くなった人の数はよくわからない。
当時の出来事を扱った中国映画も最近は数多く作られるようになったが、
詳細は明らかにされていない。

知識人への弾圧は熾烈を極め、
自殺者が多く出たことも文革の特徴である。
その弾圧の中心にいたのは
いわずと知れた何もわかっていない10代の紅衛兵で、
とにかく何もかもぶち壊していった。
いったい日本のマスコミ・知識人は何を見ていたのだろう。


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写真は上海の表通りから少し入ればどこにでもある庶民のアパートで、
恐らく文革時代にもこんな路地にまで紅衛兵があふれかえり、
悲惨な光景が繰り返されていたのだろう。
ただ、撮影したのが5年くらい前で、
当時すべて新しいビルに立て替える方針だと聞いていたので
すでに取り壊されているかもしれない。
高いビルから見下ろすと町並みの美しさに息を呑んだものだが、
耐震性の問題もあるから、
やめてくれというのも余計なお世話なのかもしれない。

私が歌っていた「東方紅」を上海のカラオケ屋で歌おうとしても、
まず、曲が入ってなかったり、
一緒に歌ってくれることになっているお嬢さん方が、
全く知らなかったり、知っていたとしてもイヤーな顔をされたりしたものである。

ちなみに、で書く話ではないのだが、やはり5年くらい前、
ある企業の中国進出の手伝いをした時に、
中国人のマーケティング専門家に
「文革で教育を受けていない40代以上の人間は
 お金も教養もありませんから、ターゲットにはなりません」
と断言された時はさすがに落ち込んだ。

天安門広場にいまだ掲げられている毛沢東の肖像画を降ろせないところに
中国の苦悩が象徴的にあらわされているように思われてならない。


当時のことをもっと知りたい方には、
わたしが読んだものの中では以下の本が参考になると思います。

ワイルド・スワン」ユン・チアン

マオ 誰も知らなかった毛沢東」ユン・チアン/ジョン・ハリディ

周恩来秘録」高文謙


大倉眞一郎


BOOK BAR staff| 13:51 | カテゴリー:

2008年08月16日

8.16 OA 鬼束ちひろ ゆらゆら帝国 サザンオールスターズ and more

1 SHE’S IN FASHION / SUEDE

ブリット旋風が吹き荒れた90年代のUKバンドのなかで、
もっともストレートにグラムロックの影響下にあったのがこのスエードでした。
オアシスやブラーと比べると、ファンもマニアックだった。
来日公演でもブレット・アンダーソンの美貌と中性的な歌声に
黄色い声援が飛んでましたねェ。


2 蛍 / 鬼束ちひろ 

映画『ラストゲーム 最後の早慶戦』の主題歌。
昨年から本格的に音楽活動に復帰した鬼束、
この秋には6年半ぶりの全国ツアーを行う。


3 夜来香 / WEI WEI WUU 

上海戯曲学校で二胡とヴァイオリンを専攻し、双方を首席で卒業。
1991年に来日、日本で音楽活動を本格化。
国内外のアーティストとのコラボレーションも多い。
なかでもバカラックの名曲をカバーしたアルバムはお薦め!
Caféミュージック(飲茶音楽)としてまったり和めます。
ちなみに日本の和楽器・胡弓と混同されてしまうことが多いそうですが、
二胡と胡弓はまったく別の楽器です。


4 空洞です(alternate version) / ゆらゆら帝国

1989年に結成された日本が世界に誇るサイケデリックバンド。
昨年の豪ツアーに続き、今年は欧州ツアーを決行!
この曲は今年7月にリリースされた『REMIX 2005-2008』から。
リミックスといっても第3者であるDJが音をいじっているわけではなく、
自分たちで再構成している模様。
彼らのLIVE体験は強烈である。今年の夏フェスでも患者が増えたらしい。


5  交響曲「大地の歌」イ短調・第3楽章・青春について / ドレスデン国立管弦楽団 

グスタフ・マーラーが1908年に作曲した9番目の交響曲。
しかしマーラーはベートーベンやブルックナーが第9交響曲を書いたあとに
この世を去ったことを意識して、番号をふらずに単に「大地の歌」としたそう。
歌詞には中国の詩仙・李白らの唐詩の翻訳が使われている。


6 流れる雲を追いかけて / サザンオールスターズ 

いよいよ日産スタジアムでのLIVEが始まりましたね。
30年間お疲れ様。そしてありがとう。
この曲は1982年に発表されたサザンの5枚目のアルバム『ヌードマン』収録。
昭和初期の歌謡メロディーの如く郷愁を誘うのは、
原由子の声のせいだけではなく、中国残留孤児の心情を歌っているからか。
同じく中国を舞台にしたユーミンの「大連慕情」も切ない佳曲です。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2008年08月16日

大地の子

大倉眞一郎セレクト

著者:山崎豊子

中国残留孤児を主人公にして描かれ大河小説。
「不毛の祖国」、「二つの祖国」と並んで戦争3部作と数えられることも。
第52回文藝春秋読者賞受賞作品。

BOOK BAR staff| 14:41 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月16日

最後の早慶戦

杏セレクト

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著者:笠原和夫、松尾俊治

戦時下の昭和18年、
学徒出陣の令が下った若き早慶の野球部員たち。
戦場に赴く彼らのために開催されたのが、
当時の名称で「出陣学徒壮行早慶戦」、
別名「最後の早慶戦」であった。

BOOK BAR staff| 14:15 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月13日

帰省

13日にもなると毎年東京はガラガラになり、
電車はすくし、飲食店は軒並み店を閉めるので、
去年まではずいぶん健康になっていたものである。
今年は皆さんどうされるのでしょう。

そういえば試写は盆の週はやめというところが多かったのだが、
今年はやるところがあるのは、どんな心境の変化であろうか。
ガソリン?

実は私は7月下旬に福岡で用事があって、
それに合わせて数日下関に帰っていたので、
お盆は東京です。

「下関では魚がおいしいでしょう」と言われるのが普通で、
実際その通りなので「東京の魚なんて、食えませんよ」
と答えていたのだが、ちょっとそれも飽きた。
実はもっとうまいものがある。

麺である。

あまりというか、全然知られていないのだが、
下関はラーメンがとんこつでありながら、
麺が九州のものと大きく異なるものが多く、
「大倉さん、下関のラーメンはまずくて食べられないねえ」
とあるCMプロダクションのプロデューサーが偉そうに言っていたが、
そいつはアホである。
「のびててグチャグチャしている」と言う。
アホだ。

桂花ラーメンだって、東京に出てきたばかりのころは、
くさい、麺が太すぎる、濃すぎて調子が悪い時には下痢をする、
とさんざんこき下ろされたものだが、桂花ファンは増え続け、
いまでは、東京のとんこつラーメン屋があるのは桂花のおかげだと
断言できるほどの相変わらずの存在感である。

話がずれたが、下関ラーメンもせっかく行った人は心して味わって欲しい。
麺はのびているのではない。
小麦粉の他に普通のラーメンには絶対に入らないあるものが
練りこんであるのである。
じっくり噛みしめて欲しい。
一見べったりした麺の芯にはしっかりとした腰があり、
他の地のとんこつラーメンとは比較にならないくらい
ねっとりとしたスープと相乗効果を生んで、たまらん。
これ以上はよだれが出てきて書けなくなった。

下関の皆さん、いろいろ好みがあると思うが、
私のお勧めは、山の田の「太平楽」、唐戸の「一龍軒」、
新下関駅近くの「満潮」。
機会があって下関を訪れることのある方、絶対行くこと。

ラーメンだけではない。讃岐うどんと対称的な腰のまるでない、
駅のうどん。
昔はこのうどんを食いたいがためだけに
下関駅で降りた人間がいるほどである。
今もうまい。
これからまた下関を離れる人でいつも大賑わいである。

最近下関と合併した菊川町のそうめん。「菊川の糸」。
私は全国のそうめんを取り寄せて食いまくったそうめん専門家でもあるが、
最近はこのそうめんしか食さない。
取り寄せて買ってください。


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写真は実家の近くの戦場ヶ原(かつて陸軍の要塞地で、兵士であふれていた)、
からのもの。私が通った生野(いくの)小学校、その先にはかすかに海も見える。
夏の下関は光がきれいで大好きである。

下関に帰ると大学の時に原語で読まされた魯迅の「故郷」を思いだす。
半分くらいしかわからなかったが、しみじみした小説だった。
同じ思いが交錯したりする。


大倉眞一郎


BOOK BAR staff| 05:15 | カテゴリー:

2008年08月11日

グリーンランド、カンガルスワック

   

前回紹介した「国マニア」の中で
いくつか私も行ったことのある場所が取り上げられているが、
その中でなかなか皆さん出掛ける機会がないだろうと思うのが、
グリーンランド。

イギリスと日本で流すCMのロケで4日くらい滞在した。

普段ロケは担当の人にまかせる派なのだが、
これで行かなきゃ一生行かんだろうと、
やる気満々の社員を社長エゴを丸出しにして押しのけ、
イギリス、アイスランド経由でカンガルスワックという町というか、
村というか、集落というか、
そんなところに小さなチャータージェットで降り立った。
チャーターしたほうが全然安いのよ。

大変小さな空港でやっぱり北極圏はしみじみしてていいわ、
と飛行機を降りて窓の外を眺めていたら、
いきなりクリエイティブディレクターの名前を呼ぶ声あり。

何だ、荷物が消えたかと思ったら、ファックスが来ているという。
ファックス?何で空港にファックスが来てる。
意味がわからないので、放っておいた。

そんなことよりグリーンランドはデンマーク領ではあるが、
自治政府を持っているんだから、
行った証拠にスタンプを押してもらわねば。

入国審査場を探していたら数メートル歩いたところに
いきなりホテルのカウンターがあった。
カウンターの中には妙に唇が赤い男性が二人。
何故かゲイの男性が多い、というか、
ホテルのスタッフはほとんどそのようである。

クリエイティブディレクターにファックスが来ているとまたのたまう。

入国審査なんかなくて空港ほぼイコールホテルなのであった。
テロリストが入国しようとした時はどうするんだろう。
テロの対象物なんてないんだけど。

この町みたいなところで、仕事として成り立っているのは、
ホテル、お土産屋、観測研究所、バー、空港、
くらいなものであとはひたすら何もない。

寒いから外に出る用がない限り家の中ということもあるのだろうが、
人も歩いていない。
家も数えられる程度。

11月のことであったのだが、思ったほど寒くはない。
マイナス18度くらい。

着膨れはしているが何とかなるものである。

人間ほど世界のどこでも生息している生物はいない。
いいことなんだかどうだか。

撮影は凍った湖の上。そうなると風も吹くのでやはり寒い。
写真はその湖。切り立った崖は氷河である。
5年前くらいのことであるから、現在どうなっているかはわからない。
あまりの絶景にうなった。

撮影が終わって撤収にかかると、
まだ薄暗くなったくらいの空であったのだが、
長時間オーロラが出現した。

瞬時に形と色を変えていく。

感動性ではないのだが、
声を失ってただ空を眺めていた。

どこへでも行けるときに行っておかないといかん、ということです。


大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 09:00 | カテゴリー:

2008年08月09日

オリンピック開会式

北京五輪の開会式、見ましたか?

中国4000年の伝統芸能と最新のデジタル映像技術の融合、
そこに得意のワイヤーアクションをトッピングして、
最後は人海戦術で全体をコーティング。

いや〜
チャン・イーモウ、いい仕事したわ。
予想していたより、遥かにダイナミックで、
洗練されたオープニングショーでした。
ボランティアのパフォーマーもみんな頑張ってた。
きっとすごく練習したんだろう。


「国内に抱える多くの問題をスルーして、
 しょせんは漢民族のための漢民族のページェントじゃん!」
なんてクールな見方もあるのでしょうが、
ここは隣国の成功を素直に祝うというのが礼というものでしょう。
ほんとお見事でした。

それにしても五輪の開会式というものを見ていると、
いろいろなことを考えてしまう。
番組でも言ってましたが、
大倉さんはソウル五輪の開会式を見ながら泣いていたそうです。


今回、開会式を見て気づいたこと。考えたこと。

*国が増えたな〜
東西冷戦終結後、連邦から独立したり、
紛争を経て分裂したりと、世界は揺れ動いている。


*カリブ海の国や地域について無知だな〜
いずれも少人数での参加だけど、いつの間に増えたのか?
それとも経済状況がよくなって参加できるようになったのか?
ずいぶん知らない国名、地名があることに気付いた。

*欧州や南米の国にもアジア人種がけっこういるのね〜
人種間の交流が活発になったことで、
世界は確実に狭くなっているのだ。


そんなことを、つらつらと考えながらテレビを観ていた。
これまでに幾度も五輪の開会式を見てきたが、
今回の北京の演出はなかなか立派なほうだったのではないだろうか。
前回のアテネもトランスの人気DJが選手入場のBGMを担当したり、
bjorkが歌ったりと斬新でよかった。

でも一番強く印象に残っているのは、
1992年にフランスのアルベールビルで行われた
冬季五輪の開会式。
演出を手掛けたのは、当時弱冠31歳というフィリップ・ドゥクフレ
国家的大イベントの総指揮をそんな若い人間にまかせるなんて、
フランスという国はすごいな〜と感心した。
そして国としてはそれほど元気があると思えなかった
当時のフランスがその文化面での底力を見せつけた
幻想的なショーに圧倒されただただ沈黙した。

フランスは芸術の国なのだと思い知らされた。
バブル景気でいい気になってたけど、
アートの表現力、理解力に関しては、
まだまだ日本は未熟なんだと反省した。

それから6年後。
長野で冬季五輪が開催となった。
どんな開会式になるのだろうと期待したが、
総合演出は還暦を超えた演劇界の大御所だと聞いて、
逆に心配になった。
縦社会と権威主義、
まさに昭和の日本の縮図のようなキャスティング。
もうとっくの前に平成になっていたけど。


心配は的中した。
自衛隊の戦闘機が開会式場の上を飛んで行ったが、
それは1984年のロス五輪の二番煎じだ。
これが国際映像で世界に流れてると思うと、
日本の良いところが何も伝わっていない気がして胸が痛かった。

欽ちゃんに罪はないが、
閉会式もひどかった。

2016年。
もし東京で五輪が開催されるとしたら、
総合演出には誰が適任なのだろう?
チャン・イーモウの頑張りを見て、
勝手にひとりで悩んでいた。


(番組スタッフ JD)

BOOK BAR staff| 14:59 | カテゴリー:

2008年08月09日

8/9 O.A. CARLOS NUNEZ 矢野絢子 THE TROUBADOURS

1 PEOPLE MAKE THE WORLD GO ROUND / THE STYLISTICS

フィリーソウルを代表するコーラス・グループ。
デビュー作にして最高傑作の1stアルバム『スタイリスティックス登場』より。
日本での人気が高く、来日回数もハンパないっす。
なんだか毎年、クリスマスシーズンになると日本に来ている気が……。


2 PASACORREDOIRAS / CARLOS NUNEZ 

スペインのガリシア地方出身のミュージシャンですが、
ここはかつてケルト系の民族が住んでいたところで、
音楽もスコットランドの曲かと思わせるくらいケルトっぽいものがあります。
この曲では、彼はバグパイプを演奏しています。


3 ROME / THE TROUBADOURS 

リバプール出身の4人組といえば、もちろんビートルズですが、
出身地、メンバー数のほか、ポップセンスにも共通項がありそうなのが、
このバンド=ザ・トルバドールズ!
現在、サマソニで来日中。
今年一番の気になる新人バンド。
待望のデビューアルバムは9月に発売だそうです。


4 NATIONAL ANTHEM OF NOWHERE / APOSTLE OF HUSTLE

最近、一番ぐっときたタイトル。
うまく日本語に訳せないのがもどかしいですけど……。
なんか自由の賛歌ぽいニュアンスは伝わるかな?
歌っているのは、総勢15人というカナダの大所帯バンド、
ブロークン・ソーシャル・シーンのリードギタリスト。
六本木の交差点で撮影された写真がCDジャケットに
使われているんですが、これがまた無国籍な感じでGOOOOD!


5 てろてろ / 矢野絢子 

杏ちゃんが題名にやられたという曲。
CMやファッション誌ではキリリとしたイメージの杏ちゃんですが、
オフの顔ではけっこうゆる〜い一面も。(推測ですがw)


6 KING OF ROCK’N ROLL / PREFAB SPROUT 

20年くらい前だろうか、この曲のサビのメロディで
HOT DOG, JUMPING FROG, ALBUQUERQUE
意味不明なフレーズが繰り返されるのを聞いてからというもの、
米ニューメキシコ州にあるアルバカーキという名の街が気になってしょうがない。
アリゾナ、ネヴァダ、カリフォルニアは何度かドライヴ旅行したが、
なかなかニューメキシコまではたどり着かない。
アルバカーキは、まだ遠い。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:SONG LIST

2008年08月09日

ぐっとくる題名

杏セレクト

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著者:ブルボン小林 中公新書ラクレ

ブルボン小林は、芥川賞作家・長嶋有が主にネット上で
エッセイやコラムを書くときに使う別名義。
ここでは徹底的に題名を分析しています。

BOOK BAR staff| 14:23 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月09日

国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ

大倉眞一郎セレクト

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著者:吉田一郎 交通新聞社

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1963年11月3日東京都赤羽生まれ。埼玉県大宮育ち。
法政大学社会学部卒業。中学生時代、タモリの「四ヵ国語麻雀」で
中国語と韓国語に目覚め勉強を始め、映画『Mr.Boo!』で香港にとりつかれる。
イギリス植民地時代の1985~87年にかけ香港中文大学に留学。
九龍城砦14階に住みながら日本語学校でアルバイト講師生活を送る。
週刊『香港ポスト』記者を経て、月刊『香港通信』編集長、
日刊『香港ビジネスポスト』編集長。

BOOK BAR staff| 14:16 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月06日

スターシップ・トゥルーパーズ3

大倉映画部副主将、じゃなくて副部長全開状態です。

試写を見に行くだけでも忙しい。

というより、それくらい時間があるということか。

ともあれ試写を見ても公開がずいぶん先だったりするので、

感想は直前になってから書き込むことにしましょう。

昨日は久しぶりの銀座シネパトス。

この映画館は昔はエロ映画をかけていたりしたので、

会社をさぼってよく来たものです。

薄汚くて便所の臭いがして、

電車がすぐそばを走っているので、

何分かごとにゴーという音が聞こえてきたりして。

散々な映画館だったのですが、何故かここでしかやっていないものが、

けっこうあったりしました。いい思い出じゃないけど懐かしい。

今はもう改装がされていて椅子は立派だし、

くさくないし、

電車の音も聞こえない、どこに出しても恥ずかしくない箱になりました。

ただ、場所が場所なので哀愁があってとても楽しい。

行かれたことのない方、是非一度。

見たのは「スターシップ・トゥーパーズ3」。

普通の人はなかなか行かない映画です。

だってここと新宿ジョイシネマ、池袋シネマロサでしかやっていないんだから。

3というくらいなので3作あってこれで全部見ました。

もうこれ以上作らないで欲しい。

女性は嫌がるでしょう。でかい昆虫だもんな。

巨大宇宙昆虫生物と人類の戦いを描いているのですが、

まじめに作ったのか冗談なのか良くわかりません。

お金はそこそこかけているはずなのに、

どうしても超B級映画の枠にしか入らない。

B級映画は決して嫌いではないのですが、

あまりにも内容が陳腐。

巨大昆虫との戦闘シーンは迫力があって、

妙にリアルなのが気に入っているのですが、

あいだあいだに挿入されるニュースシーン、軍隊への入隊CM、

ナチスを思わせる制服にはゲロが出そうで、

アメリカを変化球で皮肉った反体制映画なのか、

本気のアメリカ万歳映画なのかよくわからない。

映画評論家の中でも評価が両極端に割れているようです。

そうは言っても1997年に最初の作品を見てしまって、

変な映画だなあと思っちゃったもんだから、行かないわけにはいかない。

2003年に2作目。今回が最後?だと思うのだけど不思議なことに、

アメリカ映画なのに日本先行上映なんですね。7月19日公開で、

アメリカでは私が見た昨日5日から公開されているはずです。

こんな映画なんで、

いい加減な脚本家にちょいちょいと書かせたのかと思っていたら、

一応SFの巨匠ハインラインの「宇宙の戦士」が原作になっているようです。

これ以上作られても困るなあと一人悩んでいますが、

パワードスーツっていうんですかカンダムみたいなのもちょっと出てくるので、

もしかしたら次作があるとすれば、そいつが大活躍するのかも。

そういうのが好きな人は急げ。これもすぐ終わっちゃうかも。

大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 02:36 | カテゴリー:映画部

2008年08月04日

1989年

私は某広告会社で働いていた時、

たまたま1989年に国内担当から海外組に回された。

英語は全く話せないわけではなかったが、

「その英語でやっていけるつもりか?」と

完全なダメ出しをされて、

とりあえずアメリカの大学で勉強をするようにと、

私の性格を知らない会社から超ラッキーな命を受け、

メリーランド大学で「研修」をすることになった。

大体メリーランド州なんていう州があることさえ知らなかった。

ご存知ですか?

ワシントンDCに一部を貸し出している州で、

つまりアメリカの首都から30分も車を走らせれば

もう私がいた町に着く。

町名カレッジパークというあまりにもわかりやすい大学町。

何もない。

でも、大学が持っている立派なゴルフコースが

車で5分の場所にあった。

当時はゴルフをやっていたので、

「研修」が終わると仲間と即ゴルフである。

あれで一応いくつかMBAの単位をくれた。

大学がいい加減だったのか、私たちがいい加減だったのか。

多分両方。


真剣に大学以外はほとんど何もない場所だったので、

よくワシントンDCへ出かけた。

今はどうだかわからないが、そのころは治安が非常に悪く、

ワシントンDC周辺では毎日のように銃撃があって、

よく人も亡くなっていた。

危ないので特に治安の悪い地域では、

子供は空の風呂の中で寝ていると聞いた。

弾を通さないんですね。

ともあれ、ワシントンDCにあるジョージタウンという

オシャレなところでよく飯を食った。

DCではいろいろなデモや集会に出くわした。

さて、ここで1989年という年がどんな年だったか、振り返っておこう。


6月4日・・・・・ 中国・・・・・・・・・ 天安門事件

6月・・・・・・・・ ポーランド ・・・・・自由選挙実施

11月9日 ・・・・ ドイツ ・・・・・・・・ ベルリンの壁崩壊

12月25日 ・・・ ルーマニア・・・・ チャウチェスク大統領、軍事裁判の後即射殺される


まだまだ書ききれないくらいいろんなことが起こっているはずだが、

すぐに思い出せるものだけでもこんな感じである。

要は共産主義国(といわれていた国々)が

次々と崩壊していく序曲の年であった。

その時にアメリカにいたというのは実に妙な偶然だと今思う。

載せている写真は恐らく夏くらいのデモの様子である。

弾圧から逃れてきた東ヨーロッパ諸国の人々、

天安門事件に抗議する中国人留学生が、

プラカードを持って延々と共産主義批判のシュプレキコールを上げていた。

私はすでに共産主義シンパから足を洗い、

資本主義の走狗たる広告代理店で働いていたので、

まあ、ノンポリであった。だもんで、

真剣な顔をしてデモをしている人の写真を撮れたのである。

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そのデモからわずか19年である。

あらゆる国々で社会格差が大きな問題となり、

サブプライム問題が発端となってインチキ金融商品の正体がばれ、

行き場をなくしたマネーが大嵐のように

ある意味で世界を破壊し始めている。

「どうしましょう」と言ったところで、我々が選んでしまったことである。

人間のすることである。間違いは必ずある。

でも、考えましょうね。私にも結論なんかないんで、

だらだらしているように見えても、

実はいろいろ考えることはしていたりします。

大倉眞一郎

BOOK BAR staff| 14:21 | カテゴリー:

2008年08月02日

8.2 OA 美吉田月 RODRIGO Y GABRIELA EDDIE VEDDER and more

1 COUNTRY LIVING / いとうせいこう

J-WAVEではTHE GREATEST GOYA GRANDPRIXのゴーヤマスター、
テレビでは深夜バラエティーの司会と、その才能と活動範囲が幅広いゆえに、
若い世代には何をやっている人間なのか正確に理解されていない粋人。
音楽の分野ではヒップホップ創生期のエヴァンジェリスタであり、
ダブ・サウンドを世に広めた功績者であることを忘れてはいけない。
自宅ベランダでの植物栽培について書いた植物エッセイ「ボタニカル・ライフ」は
講談社エッセイ賞(1999年)を受賞。(とってもオモシロイ!)
現在はグラフィカルデザインの美しいガーデニング雑誌「PLANTED」の
編集長でもある。  


2 千の夜をこえて / 美吉田月

人気カバーCDシリーズ『pure flavor #2~key of life~』から、
原曲はAqua Timezの2年前のヒット曲。
歌っているのは叙情派シンガーソングライターの美吉田月。
ちなみに“みよしだ・るな”と読みます。
今週リリースされたカバー第3弾『Ska flavor #1』では,
初めてスカに挑戦しています。


3 TAMACUN / RODRIGO Y GABRIELA 

今年のフジロックでの素晴らしいパフォーマンスに敬意を表して……。
ロドリゴとガブリエラはアイルランドに渡り、
ヨーロッパをベースに活動しているメキシコ人男女のギターデュオ。
ギター2本だけでこれほど色彩豊かな音が生まれるとは驚異的です。
とにかく速い!精確!情熱的!
秋の再来日が待ち遠しい!


4 DOWN IN MEXICO /THE COASTERS

前の曲からメキシコつながりで……。
歌っているのはビートルズやストーンズもカバーしていた
西海岸出身の名門ドゥーワップ・グループ=コースターズ。
50年代後半にヒットを連発していた彼らのデビューシングルです。
最近ではタランティーノのおバカ全開ムービー『デスプルーフ』の
サウンドトラックに使われていました。


5 OH SUSANNA / THE BE GOOD TANYAS 

カナダのヴァンクーバー出身の女性3人によるカントリーバンド。
トラディショナルな楽器を使いこなし、
ロックやブルース、ブルーグラスをも消化したサウンドで注目されている。
なんとも郷愁を誘うこの曲は,
フォスターがゴールドラッシュ直前の1848年に書いた名作。
開拓時代を連想させるのもうなづけます。


6 GUARANTEED / EDDIE VEDDER 

9月に公開される映画『INTO THE WILD』のサントラとなっている
エディ・ヴェダーのソロアルバムから。
映画を監督したのは、エディの親友である俳優のショーン・ペン。

~物質文明を嫌悪し、家族とも馴染めなかった青年は、
アラスカの雪深い森に入ったまま帰ってくることはなかった~

エディはこの物語の主人公である青年の生き方に
自分の若き日を重ね合わせ、サントラを歌うことを快諾。
パール・ジャムのときとはまったく異なるアプローチで、
雄大で美しい大自然の映像により深みのある陰影を刻んだ。
18kg減量して撮影に臨んだ主演のエミール・ハーシュも好演。
原作となったノンフィクション『荒野へ』も素晴らしい一冊です。


BOOK BAR staff| 14:54 | カテゴリー:SONG LIST

2008年08月02日

ルポ貧困大陸アメリカ

◇◇大倉眞一郎セレクト◇◇

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著者:堤未果 岩波新書

教育、医療、災害対策など、
様々な分野で格差社会となった現在のアメリカの問題点を探る一冊。

BOOK BAR staff| 14:50 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月02日

親指の恋人

◇◇杏セレクト◇◇

    386205.jpg
  
「親指の恋人」
著者:石田衣良 小学館

六本木の高層マンションで暮らす、
何不自由ない生活をしている裕福な大学生の青年が、
携帯電話の出会い系サイトで知り合った娘と恋に落ちる。
しかし2人の恋は許されない恋だった……。

BOOK BAR staff| 14:30 | カテゴリー:BOOK INFO

2008年08月01日

雲南の花嫁

昨日は久しぶりに新宿に行きました。

あんまり久しぶりで、さぞ、あのみだらな町はさらに熟れて

私のようなアジア放浪家にはたまらん香りを放っているだろう、

帰れなくなったらどうしようとワクワクしていたのですが、

いかなることか私が魅かれていたどろどろしていた場所は

すっかりきれいになってしまっており、

逆に居場所が無いような、そんな気分でした。

学生時代はわざわざ桂花ラーメンを食べるだけの理由で

行っていたのですが、さすがに50を過ぎたのでそんなことは無く、

新宿でしかやっていない映画を見に行ったのでした。

K’s cinemaでやっている「雲南の花嫁」。

雲南省にはどえらい数の少数民族が住んでおり、その中のイ族のお話です。

イ族の伝統をひっくり返すやんちゃな花嫁が騒ぎを起こしつつ、

しだいに皆に愛されていくという、

まあストーリーはそんなもんでいいじゃないの、という手の映画ですが、

まず、イ族の中で歌い継がれている独特の歌唱法による歌が素晴らしい。

メロディーもちょっとやそっとでは思いつかないほど不思議なもので、

コリャどうすれば手に入るのだろうかと思案中です。

男も歌うのですが、やはり若い女性の合唱が一番いいですね。

それから、主人公の少女を演じるチャン・チンチューがとんでもなく美しい。

こんな子に雲南省で会えたら、

私はきっと帰らずに住み着いてしまうと思います。

イ族の若い女性の中からオーディションで選んだのかと思ったら、

何のことは無い「ラッシュ・アワー3」にすでに出演しており、

もうハリウッドに奪われていました。

アメリカに行きゃいいってもんじゃないんだけどねえ。

全然関係ありませんが、99年の映画「初恋のきた道」で

映画デビューを飾った、今や世界的女優チャン・ツィーイーを

その映画で見たときはあまりの可愛さに腰を抜かしました。

で、そのころはツィーイーとだけ呼んでいたのですが

いつから姓もつけるようになったのでしょうか。

ちなみに現在、大金持ちのイスラエル人実業家と婚約中だそうで、

なんか腹が立ちますね。

私がこの間ラオスに行った時は中国国境、雲南省まで10数キロの

町ムアンシンに何日かいましたが、

やはりイ族の女性が民族衣装を身につけ、

市場へたけのこなんかを売りに来ていました。

ラオスではロロ族と呼ばれています。

ムアンシンには中国人も多く、中華料理屋がいくつかありますが、

態度が悪いのであまりお勧めしません。

なかなか行く人もいないか。

雲南省へ続く道には、雲南省ナンバーのでかいトラックが

ビュンビュン走っていますが、

行きも帰りもサトウキビだけを山のようにつんでいるのは

いったいどういうことだろう、

という小さな謎がいまだに夜な夜な私を悩ませてなかなか寝られません。

この「雲南の花嫁」は8月21日までしかやっていないそうですから、

興味のある人は急げ。

大倉眞一郎


BOOK BAR staff| 11:54 | カテゴリー:映画部


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